日朝友好京都ネット設立 文化・学術・市民交流を促進 |
幅広い友好・親善の輪を、総会と懇親会に各界150人参加
日本と朝鮮の文化・学術・市民交流を促進していこうと、日朝友好京都ネット設立総会が3月25日、キャンパスプラザ京都(京都市下京区)で行われた。 日朝友好京都ネットは、文化・学術を通して日本と朝鮮半島、とくに朝鮮との市民交流を推進していこうと設立されたもの。多文化共生社会の発展を目指すうえで不可欠な、日本市民と在日コリアンの交流と相互理解の促進、民族教育権をはじめとする在日コリアンの権利と社会的地位向上に向けて市民、団体による幅広く、緩やかなネットワークを拡大、国交正常化促進のための世論喚起に努めていくことを目的としている。初代会長に浄土宗教育資団・水谷幸正理事長が就任した。 設立総会には、趣旨に賛同する京都の各界人士たち120人のほか総連中央・南昇祐副議長、総連京都府本部・金学福委員長をはじめとする総連の活動家ら30人が参加した。 各界人士たちの多くは、地域や分野ごとの草の根日朝友好活動を通して、友好親善関係の促進と国交正常化促進に寄与してきた京都在住の学者、文化人、宗教人、市民たちで、大阪、兵庫の市民団体代表も応援に駆けつけた。 設立準備会では当初100人程度の参加を予定していたが、総会にはそれを上回る各界の賛同者が参加した。 親善の土台を次代に 設立総会ではまず、日朝友好京都ネット・仲尾宏副会長(京都造形芸術大学客員教授)が、「東アジアの平和と朝鮮半島〜朝鮮民主主義人民共和国と日本国民との対話と交流促進をめざして」と題した記念講演を行った。 仲尾副会長は、有史以来東アジア、朝鮮半島と日本列島の交流はさかんに行われて来たが、日本の侵略と植民地化によって戦争被害者と加害者が生まれ、さらに日本が戦争、植民地化の責任をあいまいにしてきたことによって、現在、交流には大きな障害がもたらされていると指摘。日本社会には、教科書問題をはじめ、植民地の朝鮮にダム、学校を作ったという「よいこともした史観」が今もくすぶっていると述べ、複合的な視点でしか本当の歴史は見えてこないと強調した。 そのうえで、相互の誤解と偏見、先入観をときほぐすためには市民交流が大切な役割を果たすと強調し、戦争の背景にあった専制と差別に対する、民主主義と人権が平和の後ろ盾になると力説した。 最後に、東アジアの平和を実現し、在日コリアンの人権、福祉問題を解決するためには多くの市民の努力と協力が必要だと呼びかけた。 続いて、上田昇副会長(日朝友好文化フェスティバル実行委員会事務局長)が設立経緯を説明した。 上田副会長は、昨年2月に開かれた懇親会「日朝友好親善を推進する有志の集い」を機に、日朝友好親善に尽力してきた多くの先人の志と豊かな経験を土台に、これを次代へと引継ぎながら活動を推進していくためには、各分野で活動する個人や団体を網羅したネットワークが必要だとの認識の下、繰り返し議論されてきたと述べ、一年をかけて準備を進めてきたと紹介した。 また、牧野一樹理事(京都造形芸術大学通信教育部事務局長)が、設立趣旨文、活動計画、規約を発表し、具体的な活動の柱として、文化、学術イベントを通した市民交流、府下自治体と朝鮮諸都市との友好姉妹都市連携の働きかけ、訪朝団、訪日団の組織、在日コリアンとの交流事業などを推進していくことを明らかにした。当面、設立記念訪朝団を組織するほか、記念講演会、「南北コリアと日本のともだち美術展」の開催などが予定されている。 総会では、役員を代表し水谷幸正会長があいさつした。 水谷会長は、「国家交流は政治、経済が優先されがちだが、文化、学術交流も大切なこと。信念を持って取り組みたい」と語った。 また、日朝友好兵庫県民の会、京都地方選出の衆議院議員、農業組合、市民団体、長岡京市長、亀岡市長などからの祝電が紹介された。 友好を広げる契機に 総会に続いて、懇親会が行われ、南昇祐副議長、野中広務元官房長官、日朝国交正常化の早期実現を求める市民連帯・大阪の有元幹明共同代表が連帯のあいさつをした。 南昇祐副議長は、政治情勢が緊迫した中にあっても、朝・日親善と文化交流を推進させようという京都の各界人士の熱い想いに強い感銘を受けたと語り、日本各地で朝・日友好の輪と絆を深め、国交正常化促進のきっかけになることを願うと述べた。 野中元官房長官は、日朝関係の今後を占うとても重要な時期に設立されたことは大変意義深いとしながら、日朝友好京都ネットは東アジア地域の連帯に向けた大きなエネルギー源になると語った。 また、有元共同代表は熱気ある雰囲気に圧倒されたと敬意を表し、ともに手をつないで日朝運動を促進していきたいと強調した。 京都府、京都市、宇治市、向日市の各議会議員をはじめとする出席者が紹介された後、金学福委員長が乾杯の音頭をとった。 金委員長は、朝・日友好親善、国交正常化の実現、東アジアにおける友好親善に向けて共に連帯していこうと語った。(鄭尚丘記者) [朝鮮新報 2009.3.30] |