top_rogo.gif (16396 bytes)

ソウルでの夜

 4月1日、北と南のサッカー男子代表は、W杯南アフリカ大会アジア地区最終予選でグループ首位をかけソウルで激突した。試合後、とあるホテルで朝鮮選手の取材を終え、時計に目をやると0時25分を指していた。しょうがない、タクシーで帰ろうと、ホテル隣の乗り場で待った。

 その乗り場の前列には、南の中年女性が数人。ロビーを歩く朝鮮代表選手団の姿を追っている。なにやら大きな声で話し合っている。

 「あら、北の選手かしら? 食事にでも誘ってみましょうか?」

 こんな会話をしながら、彼女たちは名残惜しそうに繁華街へと向かった。

 ほどなくタクシーが到着し乗り込むと、釜山出身という運転手との間で、サッカー談義が始まった。

 「いやー 今晩の試合は楽しかったー! 南北が一緒に本選に行けたら、どれだけいいだろうかねー!」と運転手。

 そういえばと、記者はカメラを取り出し試合中の写真をプレビューした。会場に、「私たちはひとつ! 6.15共同宣言実践南側委員会」という横断幕が掲げられていたこと、試合中は遠くて見えなかった水色の朝鮮地図が、背景に描かれていたことを再確認した。

 今回、南で出会った中年女性と運転手、統一を願う横断幕…。それらは北と南の厳しい現状とは、温度差を感じさせるものだった。

 初の北南戦取材をなんとか終えたソウルでの夜は、北と南がともに南アフリカに行かねばと確信した夜となった。(東)

[朝鮮新報 2009.4.20]