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「つくる会」主導の歴史教科書、検定合格 歴史改ざんは許されない

 日本の文部科学省は4月9日、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)が自由社を通じて申請した中学校歴史教科書を検定・合格させた。

 朝鮮中央通信は「朝鮮半島に対する日帝の侵略と植民地支配を正当化し性奴隷犯罪、強制連行など歴史的事実を歪曲する内容で一貫している」と指摘し、「日本の反動らの醜悪な歴史歪曲行為」と断じた。

 南朝鮮の外交通商部も声明で、「過ちを合理化、美化する誤った歴史観に基づく歴史教科書」と指摘、検定通過に抗議し是正を求めた。

 「アジアの平和と歴史教育連帯」など南朝鮮の市民団体や「歴史認識と東アジアの平和フォーラム日本実行委員会」を含む日本の35団体(8日現在)も、アピールを発表した。

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 「つくる会」による中学歴史と公民教科書(ともに扶桑社)は2000年度に初めて検定に合格した。「皇国史観」に基づく日本帝国主義を美化し、侵略を正当化した内容だったため、この教科書は朝鮮をはじめとしたアジア各国の厳しい批判を浴びた。採択率は後の改訂版(2004年)ですら全国で歴史が0.4%、公民が0.2%であった。

 そもそも「自虐史観の克服」を標榜して結成された「つくる会」は、1997年発足後、10年を経ずして分裂した曲学阿世の徒たちである。

 現在、「つくる会」と扶桑社は歪曲教科書の発行と著作権をめぐって争っている。両者の歴史教科書は章立てや項目の表記は言うに及ばず、文章表現まで瓜二つである。

 もともと申請本は、昨年12月の検定で516カ所の欠陥が指摘されて不合格になった代物。「つくる会」が訂正、再申請したが、その後さらに136カ所を修正、再々申請したいわくつきである。

 内容を見ると、事実を歪曲した記述が多い。

 例えば、4世紀後半、大和政権が朝鮮半島南部の伽耶地方に「任那日本府」を設置したとしているが、これは朝・日両国の学界で公式に否定されて久しい。また、独自の年号を使ったのは東アジアで日本だけだとの記述もある。

 「朝鮮併合」については「日本の安全と満州の権益を守るためだった」とし、植民地支配も「近代化」のためであったと強弁している。

 アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼称し、侵略の事実を曲げ肯定、美化している。

 旧日本軍による「従軍慰安婦」問題の言及は一言半句もなく、「創氏改名」、徴用徴兵などについては申し訳程度に記している。

 これらはむしろ「南京大虐殺、朝鮮人強制連行、従軍慰安婦は嘘、旧敵国のプロパガンダ」と言い張る彼らにすれば当然の帰結だろうが、要は「日本の戦争は正しかった」と教えることで、再び戦争に命を捧げる国民を育てようというのだろう。

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 ともあれ、健全な歴史認識に逆行し、アジアとの友好関係を損なう検定合格は日本政府が下した。これまで公式に発表した見解との整合性をあえて問いたい。

 旧日本軍「慰安婦」問題についての「河野談話」(93年)、アジア諸国「植民地支配と侵略について」「多大の損害と苦痛」に対するお詫びと反省を表明した「村山談話」(95年)、歴史への痛切な反省を盛り込んだ朝・日平壌宣言(2002年)などがある。

 来年は、日本帝国主義が朝鮮を武力で不法強占して100年になる。日本は負の遺産を完全に清算すべきである。今回の検定合格を撤回し、教科書の誤った記述を修正させなければならない。

 歴史の歪曲はアジアの嘲笑を買い、高い代価をもたらすだけである。日本に対する尊敬も侮辱も、挙げて恥ずべき歴史の清算にある。(李一満、東京朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮側事務局長)

[朝鮮新報 2009.4.27]