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新潟初中を中心に広がる朝・日友好 「ミレフェスティバル」、学芸会など

「会って話せば通じる」

 2002年9月17日以後、新潟では、総連と在日朝鮮人に対する右翼保守勢力による弾圧と脅迫が相次いだ。新潟のある在日朝鮮人1世は「朝鮮や在日朝鮮人に関するあらゆるものが否定される異常な状況」だったと振り返る。しかし、不当な弾圧に負けず声を上げ続け、新潟伝統の朝・日友好親善をしっかりと受け継ぐ人たちがいる。

朝鮮学校支援を機に

 同地域での朝・日友好運動は、新潟朝鮮初中級学校を中心に着実な広がりを見せてきた。それを裏づけるように、同校で毎年行われている日朝文化交流行事「ミレフェスティバル」は、1000人以上が参加する大イベントになっている。

 他県からの参加者たちは「正直、新潟でわれわれを支持してくれる人々がこれほど力を発揮しているとは思わなかった。新潟の朝・日友好運動の力強さを実感した」と感嘆を隠さなかった。

 その「ミレフェスティバル」の中心には、「朝鮮学校を支援する新潟県民の会」と朝・日青年たちの交流団体である「日朝ネット」が存在している。

 「県民の会」は1994年、朝鮮半島の「核危機」によって各地の朝鮮学校の生徒たちが暴行にあう事件が頻発した時期に、党派を超えて集まった地域のさまざまな人たちによって結成された。朝鮮学校の処遇改善を要求する要請活動や署名運動を行う一方、広く募金も集め累計数千万円を学校に寄付してきた。

 高野秀男事務局長は「初めは要請活動に行っても門前払いだったが、超党派で会を結成してからは、助成金問題、大学受験資格問題など幅広く活動できるようになった」と語る。

 「朝鮮学校の卒業生たちは、日本と朝鮮の架け橋になれる貴重な存在。子どもたちには教育を受ける権利がある。同じ地域に住んでいるのに朝鮮学校だけを線引きしてはならない。行政や市民の意識を変えていきたい」

 一方、「日朝ネット」は朝青と日本の市民団体、労働団体、住民らによる交流団体だ。「ミレフェスティバル」の準備や運営は彼らが中心となって行ってきた。

 有田純也さんは「なかには、どういう集いなのか、詳細に知らされずに準備作業に動員された人もいる。 だが、いったん参加すればその中での交流を通じて在日朝鮮人や朝鮮学校に対する偏見が消えていく。確かな変化がある」と強調する。

 彼は大学時代に参加したサッカー大会で偶然、在日朝鮮人と出会った。その後、朝鮮学校の教員や同胞青年たちと交流を深めるようになった。

 「青天の霹靂のような拉致事件に接し、在日朝鮮人の青年たちは非常に力を失っていた。そんな時に私たちは、一緒にお酒を飲み議論もしながら親交を深めた。一度、互いに会って話せば通じるものが必ずある」

友好深める楽団、結成

「にっこり楽団」の練習風景

 「にっこり楽団」は昨年12月、同胞、日本市民らによって結成された。メンバーには主婦や会社員などさまざまな人たちが属している。チャンゴ、サックス、クラリネット、ギター、三線など、各自が好きな楽器を持ち寄り、主に朝鮮音楽を演奏している。

 総連支部主催の新年会では、メンバーの朝鮮女性と日本女性がバイオリンとクラリネットで朝鮮の名曲を演奏し好評だった。

 今は、秋に予定されている新潟初中の学芸会で朝鮮民謡「アリラン」を披露しようと、月に2度、学校に集まり練習に励んでいる。

 チャンゴを叩くあるメンバーは「新潟の万代太鼓をやっているが、チャンゴを叩くと共感する部分が多い。通じるものを感じる。朝鮮民謡は本当にすばらしい」と語る。

 練習を指導するのは新潟初中で音楽を教える金淳哲教員。「楽団の名称そのままに、まずみんなが笑顔で朝鮮音楽を楽しむことが大切。学芸会で素晴らしい演奏を披露したい」と語る。

 発起人の吉沢佳世子さんは、大学教授の夫と幼い息子と共に練習に参加している。「日朝友好を深める場、みんなに愛される楽団にしていきたい。もっと仲間が増えて輪が広がればいい」と笑顔で語った。(泰)

[朝鮮新報 2009.4.28]