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「慣らし通学」

 4月中旬、とある取材からの帰り道、時刻は午後2時を回った頃だった。

 JR某駅のホームで電車を待っていると、幼い子どもたちの声が遠くから近寄ってきた。−「ソンセンニム(先生)来るまで待ってなきゃ!」

 (?!) 思わず後ろを振り返ると、小さな身体にピカピカのランドセルを背負った、ウリハッキョの1年生たちがいた。

 先生と共に電車に乗り、ある児童が「ソンセンニム、今日はどこまで来るの?」と尋ねると、「ソンセンニムはいませんよ。透明人間です」と先生。…どうやら、「慣らし保育」ならぬ「慣らし通学」をしているようだ。

 1、2人と電車を降りていくたびに「アンニョン!チャル カ!」と、覚えたてのウリマルで、元気良くあいさつを交わす児童たち。

 そんなほほえましい光景を眺めながら、下校時はまだしも、朝の登校時には通勤ラッシュの中、大人たちの波にもまれながらも、一生懸命ウリハッキョに登校していくのだろうと思うと、胸に熱いものが走った。

 同時に、児童たちを見送る先生の苦労にも頭が下がる思いだった。

 最後に1人、みんなと別れた後、3つ先の駅まで乗車する児童がいた。別れ際に先生と3つ先で降りることを確認し合っていたが、無事に降りられるだろうかと、少しハラハラした。思わず声をかけようかと迷ったが、あえてじっと見守った。周りを見渡すと、その児童を見つめる他の乗客たちの顔からも笑みがこぼれていた。(裕)

[朝鮮新報 2009.5.11]