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「伯父バカ」

 今月27日に1歳になる甥がかわいくてしようがない。

 最近、「オンマ」とは言うようになったが、その他は「あー」とか「うー」とかの「言葉」と「奇声」のみ。自分なりに「あー」「うー」の意味を表情などと照らし合わせて予想してみると結構面白い。

 たとえば、布団の上で勢いよくハイハイをしていてつまずき、そのままの姿勢で発する「うー」。「あしたのジョー」風に言えば「真っ白な灰みたいに燃え尽きたぜ」という風になるだろうか。

 そんな甥の一挙手一投足を微笑ましく見ていると、妹が先日病院であった話をした。

 10カ月検診の際、甥を以前から担当している60代の女医が「『オンマ』というのはあちらの言葉?」「なんでこの子だけ『ちょうだい』ができないのかしら?」などと、あからさまに朝鮮人を軽蔑するような態度をとっていたという。腹に据えかねた妹は、日頃から交際している周りのお母さんたちを味方につけ、それなりの対応をしたそうだ。

 日本のメディアによって作り出された朝鮮人排斥の雰囲気が小児病院にまで及んでいると聞いて少々愕然とした。

 とはいえ、甥が20歳(では多少長い気もするが)になる頃には、在日朝鮮人を取り巻く環境は今とは正反対になっていることだろう。育ちゆく子どもたちのためにも、自分ができる限りのことをしようと改めて思った。

 そんな気持ちを知っているのか、甥は今日も満面の笑みをたたえながら、「あー」と呼びかけてくれる。(松)

[朝鮮新報 2009.6.15]