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「ネバーギブアップ」の波紋

 「民族フォーラム」が行われた会場の喫煙所は異様な光景だった。目を赤く腫らした男たちがいっせいに煙草を燻らす。彼らは各地の青商会の会員たちだ。前日の総会で、「真人間になれたのは青商会があったから」と話していた卒業生の姿も。涙を拭いながら、彼らはフォーラムを主催した茨城青商会を称え、いま自分たちがすべきことを語っていた。

 今年のフォーラムのテーマは「ネバーギブアップ」。ある実行委員は、「茨城=水戸納豆=ねばー」だから「ネバーギブアップ」だと言い、糸を引く納豆が描かれた宣伝用ポスターの試作品を見せてくれた。「今年は大丈夫なのだろうか」と不安を抱いたことに、今は謝罪したい。

 フォーラムでは学校問題がクローズアップされた。そして、「絶対に諦めてはいけないものがそこにある」と呼びかけた。映像もよかったが、何より茨城青商会の現実と向き合う心意気に参加者は感動したように思う。

 同胞社会を取り巻く政治情勢、経済環境は依存、厳しい。どうにかできる範疇を超えている、と知らずして同胞社会が「無気力」に陥っていた部分があったかもしれない。そんな諦めの心に茨城青商会は「NO」を突きつけた。「われわれができること、やらなくてはいけないことがある」と。そして、リアリティーある「実践」を披露してくれた。

 茨城青商会の「ネバーギブアップ」の精神は大きな波紋を生むかもしれない。フォーラムを機に、京都のある同胞が自分の子どもを朝鮮学校に編入させることを決めたそうだ。(丘)

[朝鮮新報 2009.8.3]