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留学同サマーセミナー「マダン」 講演、討論、文化公演などで学び交流

「アリランでつなぐ絆」

 留学同サマーセミナー「マダン2009〜アリランでつなぐ絆〜」が8月12〜14日、兵庫県養父市のハチ高原で行われた。各地の在日同胞学生ら230人が参加した。参加者たちは講演や討論、文化公演などを通じ、同じ民族としての繋がりを大切にし、朝鮮人として生きていくことについて深く考えた。

われらは朝鮮人

有意義な時間を共有した参加者たち

 今回の「アリランでつなぐ絆」には、実行委員たちの深い思いが込められていた。

 朝鮮民族の伝統民謡「アリラン」は、地域と時代によってメロディや題名もさまざまだが、一言で朝鮮民族を表現する「アリラン」は北、南、海外の全ての同胞の「共通語」となっている。同胞学生たちは生まれた環境や国籍も異なり日本各地に点在して暮らしているが、まさに「アリラン」のように「朝鮮民族」という共通項でつながりたい−と。

 実行委員長の開幕のあいさつに続き、実行委員たちは「ここに集まったすべての同胞学生たちと共に多くを感じ学ぶことで朝鮮人としての自分自身を磨き上げよう」と呼びかけた。

 友人との久々の再会を喜び抱擁する学生、初めての参加で不安の表情を浮かべる学生、さまざまな面持ちで参加した学生たちは、班別に昼食を取り、オリエンテーリングを通じて最初の交流を深めた。

 初日の夕方、関東地域の留学同学生たちが準備した演劇「交差点、出会い」が上演された。

 演劇は、ある大学の「コリアン学生サークル」を舞台に、「ダブル」の学生、国籍の変更を考える学生、民族教育を受けてきた学生、それぞれの悩みと葛藤、そしてそれらを克服していく姿を表現し、在日朝鮮人としてどのように生きていくかを問いかけた。留学同東京のある学生(1年)は、「国籍を変えても在日朝鮮人の歴史や背景は変わらない。その問題を避けたり放り出してはいけない。どのように受け入れ認識するのかが重要だと感じた」と感想を述べた。

民族文化に彩られた夜

「待ちに待った」文化公演の様子

 2日目は、留学同OBの李春熙弁護士による講演が行われた。

 李弁護士は、朝鮮を「異質」「恐怖」の対象とみなす日本社会で朝鮮人として生きる意味や生き方について自身の経験に基づいて語り後輩にエールを送った。

 留学同大阪のある学生(3年)は「日本社会には朝鮮バッシングや『朝鮮』という言葉に過剰に反応する傾向がある。その中で自分が朝鮮人であることを隠すのではなく、むしろそれを主張することが偏見や誤解を解くきっかけになる。自分がその発信源になりたい」と感想を述べた。

 午後は本部、支部対抗の運動会が行われフットサル、バスケットボール、バレーボール、リレー、朝鮮相撲などが行われた。そして夕方には、文化公演が行われた。

 留学同では、同胞学生たちが朝鮮文化を楽しく学び民族性を養う民族文化活動をより活発に高いレベルで展開するため、2006年からサマーセミナーの場で「オルシグ チョッタ! 留学同 ウリ文化競演大会」を開いてきた。

 留学同東京の「サムルノリ」で始まった大会は、この日を目指して練習に励んできた出演者たちの熱気で沸いた。

 留学同と出会ったことで自分の名前と民族性を取り戻し、「自分の宝物だ」という留学同の活動に面白さとやり甲斐をみつけたという留学同東海と大阪に所属する日本学校出身の学生たちの朝鮮語スピーチは、聴衆の目頭を熱くした。

 また、民族楽器と西洋楽器に堪能な学生たちによる「アリラン・アンサンブル」演奏も披露された。

 続いて登場し舞台を華やかに彩ったのは京都と兵庫の朝鮮歌舞団だった。会場は絶頂の盛り上がりを見せた。学生たちは歌舞団と共に歌って踊り、留学同の旗を先頭に「統一列車」を作って会場を走り回った。

絆、より強く

班ごとに行われた交流会

 今回、実行委員会が結成されたのは8カ月前。実行委員たちはどのような行事にすべきか、何を追求すべきかについて議論を重ねた。一人でも多くの同胞学生が参加し朝鮮民族の一員として生きるきっかけを与えるとともに、留学同の活動をいっそう活発化させようと、それぞれが離れた地域で活動する悪条件を乗り越え準備してきた。

 李杏理・実行委員長(留学同西東京、4年)は「互いに出会うことも難しい全国の在日同胞学生たちが今年も『マダン』で一堂に会した。行事のテーマにあるように、アリランを接点に出会い、対話し、朝鮮文化を共感することで、孤立分散した一人ひとりがしっかりつながったようだ」と述べた。

 留学同では「マダン」以降も、「留学同祖国訪問団」、医協との共催の「夏のコリアン医療福祉セミナー2009」、東西で開催された「支部委員たちの講習」と活動している。

 留学同の活動家と盟員たちは、夏の成果を今後の活動につなげ後半期の活動で大きな成果を生む決意を新たにしている。【留学同中央】

[朝鮮新報 2009.9.2]