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名古屋市東山霊安殿、岐阜県久々利地下壕でフィールドワーク

「二段掘り」の跡地を見学

レクチャーを受ける参加者たち

 2009「在日朝鮮人歴史・人権週間」全国集会(8月29日、名古屋市西区)に続いて、翌30日には名古屋市東山霊安殿、岐阜県久々利地下壕でフィールドワークが行われた。

 久々利地下壕は、久々利地区の南山・柿下山にあり、総延長距離は約7015メートルだ。

 当初の計画では、飛行機のエンジンを製造する三菱第4製作所を移転させるため、山のほぼ東西に50本ほどのトンネルを掘り、これをつないで地下工場とし、鉄道も引く予定だったという。完成すれば従業員数7360人の三菱航空機の地下工場でも最大のものとなるはずだったが、計画の機械800台のうち164台が運び込まれて8日間ほど試運転されたものの、敗戦により生産は行われなかった。着工は1944年、約2千人の朝鮮人労働者たちによって始められたと言われている。

 久々利地下壕へのフィールドワークは、岐阜県朝鮮人強制連行真相調査団と岐阜県地下壕研究会の協力により行われ、約20人が参加した。

戦争、強制連行の傷跡を確認した

 簡単なレクチャーを受けてヘルメット、長靴を着用し、懐中電灯を手にした一行は実際に地下壕に入った。

 内部に照明はなく、気温は約15℃に保たれているが、肌寒いと感じたのは最初だけで、まったく先の見えない暗闇とぬかるみ、そして何度も天井に頭をぶつけることから生まれるプレッシャーでじっとりと汗ばんでくる。

 身を屈めながら進む一行が案内されたのは「二段掘り」の跡地だ。

 「二段掘り」とは、直径2メートルほどの2つのトンネルを上下の中心を少しずらしながらほぼ同時に掘り進めるという非常に危険な工法で、工事を急いだためという。「二段掘り」の工程跡がはっきりと確認できるのは非常に稀なことでもある。

 さらに一行は試掘坑、垂直に伸びた風穴と呼ばれる縦穴を見学し、地下壕を出た。

 地下壕を出た参加者たちの第一声は「太陽の光がありがたい」。戦争や強制連行の傷跡を確認し、反戦、平和のために尽力していこうと語り合った。

 岐阜県朝鮮人強制連行真相調査団の加藤明事務局長は、「岐阜県だけでも1万5千人の朝鮮人強制労働者が確認されている。歴史を学ぶのではなく、歴史に学ぶことが大事だ。今後も継続して正しい歴史を伝えていきたい」と話した。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2009.9.14]