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同胞の中に入ろう

 大学時代の同窓生のアボジが先日、60歳の若さで亡くなった。教育畑を歩き続けた現役の朝鮮学校教員だった。花やアウトドアを好み、授業の準備が忙しい中、地域の分会活動にも積極的に参加していた。「イルクンは、同胞の中に入っていかないといけない」というのが口癖だったという。

 生前の話を聞きながらふと、記者として、はたして同胞の中にしっかりと入っているだろうか、同胞たちに対してどのような話が自分にできるだろうかと自問自答してみた。

 これからの運動に、少しでも役立つ有益な話をし、読者にアピールする記事が書けているだろうかと…。

 恥ずかしさがこみ上げてきた。約40年間を専従活動家として生きた同窓生のアボジの死から、何か大切なことを学んだような気がした。故人の分まで、しっかりと生きよう−。

 先代の気持ちを新しい世代が受け継ぎ、さらに発展させなければ。そして口だけではなく、行動に移し、「100日運動」の先頭に立って地域社会を盛り上げようと奮闘している同胞の中にさらに深く入っていこうとあらためて思った。

 通夜の晩、同窓生は精いっぱい笑顔を作りながらも、アボジを亡くした悲しみでうつむき加減だった。周りはそんな彼の気持ちを汲んで、励まし、話しかけていた。

 通夜に参加したみんながそれぞれ、新たな決意を胸にしていたかもしれない。人の死、そして故人の生き方から学ぶべきものは、実に多いと思った。(東)

[朝鮮新報 2009.10.19]