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朝鮮に対する日本の不当な「制裁」 先の見えない強硬策

 日本政府は朝鮮に対する単独「制裁」と関連し10日、期間を半年から1年に延長。17日には朝鮮への渡航時に持ち出す現金の届出基準額を100万円超から30万円超に引き下げる外為法の政令改正を行い、送金の報告基準額を3000万円超から1000万円超に引き下げる財務省令の改正と5月12日からの実施を閣議決定した。

 朝鮮の核実験とミサイル発射を口実に2006年7月から行われている日本当局の独自の「制裁」は、「拉致、核、ミサイル問題の包括的解決」のためだという「意義」がいつのまにか付与され、日本の対朝鮮強硬策の「象徴」「万能薬」とみなされてきた。

 しかし、現実が如実に物語っているように、「制裁」を通じて解決した問題は何もない。

国内でも異論

日本の単独「制裁」を糾弾する活動家と同胞ら(写真は昨年10月16日の中央緊急集会)

 周知のように日本の朝鮮に対する単独「制裁」は、すべての朝鮮籍船舶の入港禁止と朝鮮からのすべての品目の輸入禁止、「北朝鮮国籍を所有する者」の入国禁止など、「ヒト、モノ、カネ」の往来を全面的に遮断するのが狙い。

 朝鮮の合法的な人工衛星発射を口実に追加された今回の「制裁」と関連し、自民党「拉致問題対策特命委員会」は7日、政府に対し「制裁」案を提出。「北朝鮮は昨年8月に合意した拉致に関する再調査を行わないなど不誠実な態度をとり、ミサイル発射を強行するなど挑発的な態度を続けている」としながら、全品目の輸出禁止、輸出入制限と金融面での「制裁」に違反した外国人船員の上陸と朝鮮に行った在日外国人の再入国の原則禁止、総連と関連団体施設への固定資産税を減免しないよう自治体に対する指導を強化するなどの内容を盛り込まなければならないと主張した。

 こうした案は、本来ミサイルと核問題を口実に発動した「制裁」が、今では朝鮮を孤立させるための手段になっているということを物語っている。

 一方、衆参両院では朝鮮を非難し「制裁」の強化などを求める「決議」が可決されたが、社民党は@ミサイルか人工衛星か断定することができない、A明白な国連安保理決議違反と言えるのか、B「制裁」強化が6者会談に悪影響を及ぼすのではないかとの理由で棄権。共産党も@発射体をミサイルと断定してはならない、Aミサイルが発射されたという断定を前提に、国連安保理決議に対する違反だと断定してはならないと主張し、「決議」に反対した。

 与党内でも単独「制裁」実施後、日本の対朝鮮輸出額が8億円まで低下している状況で、実質的な効果はないとしながら、追加「制裁」に慎重な態度をとることを求める声が上がっている。

 問題なのは、日本当局が行っている「制裁」が朝・日間の問題を解決するうえでまったくプラスにならないばかりか、在日同胞の生活と権利を著しく侵害しているという事実である。1998年8月の「光明星1号」発射と06年の核実験後、日本当局とメディアがこぞって「北朝鮮バッシング」を行った結果、総連の関連施設に対する破壊行為と朝鮮学校生徒に対する暴言や暴行が横行したことに鑑みた場合、日本当局は不当な「制裁」をただちに中止しなければならない。

国際的な非難

 日本当局は、朝鮮を孤立させるための国際的な「包囲網」を構築することにも熱をあげている。

 すでに多くのメディアが報じているように、国連安保理は13日、朝鮮を非難する議長声明を採択したが、日本は、米国をはじめとする常任理事国に最後まで決議採択を働きかけた。

 日本政府は、「議長声明としては異例に強い内容であり、ミサイル発射で最も深刻な危険にさらされたわが国のみならず、北東アジア地域全体にとって重要な意義を有する」(中曽根外相、14日)、「すでにある決議の順守を求めるという点で強制力もあり、実質的には新たな決議と同等の効力を有する強いメッセージになった」(河村官房長官、同日)と「意義」を強調しているが、日本に対する国際的な視線は冷ややかだ。

 国連安保理議長声明の採択に先駆けて、中国とロシアは「人工衛星であれば、それほどイライラすることはない」(武大偉・中国外務次官)、「(1718)決議違反については日本とは異なる立場だ」(デニソフ・ロシア外務第1次官)と日本の対応に釘を刺した。

 一方、ロシアの朝鮮問題専門家たちは6日の公開討論で、日本の対応を「病的」「ヒステリー」と述べながら、「圧力は核問題の解決にはつながらない。対話と妥協が大切だ」と口を揃えた。

 専門家たちは、「宇宙空間の平和的利用は国際法上の権利」(ジェビン・ロシア科学アカデミー朝鮮研究センター所長)、「日本の反応は事前に準備されていたものだ。ミサイル防衛システムを配備するための論拠を固めようという政治目的がある」(「ロシア世界」基金のトロラヤ氏)と強調。日本の過剰な対応を批判した。

 朝鮮が「光明星1号」を発射した際、国連安保理議長は同年9月15日に報道用声明を発表。「ロケット推進型物体の発射」と規定し、事前通告がなかったことに遺憾の意を表明したが、「どの国も平和目的の宇宙計画であれば推進する権利があるということを認める」と明記した。

 朝鮮は今回、事前に人工衛星の発射を公開し、該当する国際機構にも通告した。98年の報道用声明にも明らかにされているように、朝鮮の人工衛星発射は国際法的にも、慣例に沿っても問題点は何一つない。「弾道ミサイル」という主張に固執し、「制裁」に狂奔する日本当局の無謀な強硬策は、破綻を免れないだろう。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2009.4.20]