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日比谷公園使用問題国賠訴訟 総連の勝訴確定 東京都控訴断念 判決の意義 担当弁護士に聞く

「表現の自由」の重大性を確認

 既報の通り、「在日朝鮮人中央大会」(2007年3月3日)の会場となった東京都立日比谷公園大音楽堂の使用承認が直前に取り消された事件に関する国賠訴訟で、東京地裁は都に賠償を命じた。都が控訴を断念したことで判決が確定した。総連側弁護団の古川健三弁護士に今回の裁判の意義などについて聞いた。

−判決の意義について。

都に賠償を命じた東京地裁判決後、記者会見する総連側関係者と弁護士たち

 今回の判決は、日本国憲法が保障する「表現の自由」の重大性を確認し、右翼団体による嫌がらせ行為に屈した行政側に警鐘を鳴らす重要な判決だ。

 判決は、暴力や威嚇による妨害行為を取り締まるべきであって、平穏に集会を開催しようとする者の行為を規制しようとするのは本末転倒であると厳しく指摘した。また、暴力や脅迫に屈した地方自治体の行為を非難し、公務員の憲法尊重義務をあらためて問い質した。

−都の行為の問題点は。

 都は「混乱が予想される」ことを理由に施設の使用承認を取り消した。しかし、実際には、「予見された混乱」について具体的に調査せず、防止するための警備の準備を行っていない。そして、集会を妨害する側を規制すべきであるにもかかわらず、集会を開催する側の行為を規制した。これは悪質な違法行為だ。

−当時、在日朝鮮人への人権侵害がひん発していたが。

 都は使用承認を取り消したあと、総連側の申し立てにより東京地裁から取り消し処分の執行停止命令を受けたが、即日抗告している。何としても集会を阻止しようとした意図をうかがわせる。

 判決では都の行為が「過失」であると判断されたが、総連側は故意の集会妨害であると主張した。裁判で明らかになったように、都は使用承認について内閣府や官邸に問い合わせている。これは事前検閲に等しい不当な行為だ。

−他の施設でも利用を拒否されるケースが相次いでいるが。

 本来、公共施設は使用申請を拒否してはならない。法律上の義務だ。ましてや、許可を一方的に取り消してはならない。

 今の日本社会は、一つの方向に扇動され流れてしまう傾向がある。その矛先は、ある時は在日朝鮮人であり、またある時はフィリピン人家族であったりする。これは少数者を排除する行為。民主主義とはまったく相容れないものだ。

−日本の外国人政策について。

 右翼団体の街宣行為や外国人家族への抗議行為は、「表現の自由」として保護するに値しない。人種差別を助長し扇動する行為、国連人種差別撤廃条約で禁じられている。

 地域社会は外国人も含めいろんな人が集まって形成されている。その中でただ国籍が違うことだけを理由に線引きするのは誤りである。

−今後の課題は。

 こうした問題に疑問を感じている人は少なくない。事実、裁判の過程でも日本の市民団体などから支持を受けた。在日外国人と日本人が共に力を合わせてたたかっていかなければならない。内向きにならず連携をを広げていくことが大切だ。

[朝鮮新報 2009.4.27]