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日本の学生ら 川崎初級など訪問 民族教育、高齢者問題を体験学習

 横浜国立大学「差異と共生」プロジェクトが2日から4日まで開かれた。初日は、同大学で、西川長夫立命館大学名誉教授が「多文化共生と国内植民地主義」と題して講演。3日には、立命館大学、横浜国大、一橋大学の学生ら約20人が参加して川崎朝鮮初級学校の授業参観とNPO「アリランの家」を訪ねるフィールドワークが行われた。

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川崎初級・金龍権校長の説明を聞く一行

 午前10時、一行が川崎初級に着くと、金龍権校長が校門でにこやかに出迎えた。また、この日は、長年続けられてきた近隣の桜本小学校1年生と同校1年生との交流の日。玄関で両校1年生が整列して互いに手を繋ぎながら元気よく教室に向かっていた。

 音楽室に迎えられた一行は、まず同校の沿革や学校の実情について説明を聞いた。金校長が義務教育の学齢でありながら、同校が各種学校と認定され、制度上の差別を受けているため、児童らの月謝が2万円にものぼること、川崎市からの補助金が年間、一人6万円ほどに過ぎないため財政難に直面している、民族教育を受けさせたい親も多いが、経済的な理由で断念せざるをえない実情について率直に語った。

 

川崎朝鮮初級学校で授業を参観する学生たち

 続いて、1年生の交流授業や低学年の九九のかけ算の授業、高学年の国語の授業など全クラスの授業を見てまわった。

 その後は近くの朝鮮料理店でピビンバとわかめスープの昼食をとった後、「アリランの家」(金三浩理事長)を訪ねた。

 女性職員がゆず茶で一行をもてなすなか、総連川崎支部・皮進委員長が歓迎のあいさつをした後、金理事長(77)が在日同胞の高齢化問題などについて説明。また、自身の植民地体験についても触れて次のように話した。

 「私が7歳のとき、日本によって創氏改名が施行された。クラスの担任に言われて金から金田となったことをみなに告げたら、日本人の級友らがいっせいに笑い出した。70年経ってもその日の屈辱を忘れたことはない」

 

NPO「アリランの家」で中国の崔海燕さんがトラジを熱唱

 また、同氏は強制連行で渡日した父を追って日本にやってきたオモニが日本語の読み書きができないため、チョゴリのオッコルム(胸元のリボン)に父の住所を書きつけて日本にきたと述べ、厳しい民族差別を受けながら、1世たちが次世代に未来を託しながら懸命に民族教育の土台を築いてきた歴史について言及した。

 続いて、ハルモニたちが一行を歓迎して「アリラン」を合唱。それに応えて、立命館大学の原佑介さんが「なごり雪」を、中国・東北地方から横浜国大に留学中の朝鮮族の学生、崔海燕さんが「トラジ」を披露するなど、和やかなムードに包まれた。

 この日のフィールドワークを通じて、学生たちは、民族学校の運営がどれほど大変なことなのか、また、子どもたちの楽しそうな表情や情熱的な先生たちの姿勢から、これまでは「民族主義」を批判的にとらえていたが、もう一度考えなおしたいと口々に感想を述べていた。(朴日粉記者)

日本の学生らの感想文 「否定しようもない美しさ」

[朝鮮新報 2009.2.20]