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東京ワークショップ 09年「南北コリアと日本のともだち展」 力を合わせ「平和の木」を制作

 「南北コリアと日本のともだち展」は、東北アジアの平和な未来を目指し、南北コリアと日本の三地域に住む子どもたちの絵を通した交流を繰り広げている。ここ数年の厳しい朝・日関係においてもその活動はたゆみなく続いている。絵画展の特徴は何といっても子どもたちが共通のテーマで絵を出品していることと、子どもたちが実際に出会い、交流を果たしている点だろう。

 今年の企画もまた新しい試みとなった。南の著名な絵本作家である柳在守さんと子どもたちが力を合わせ、大きな絵を共同制作するというものだ。

平壌と日本をつなぐ

平壌、ソウル訪問の報告をする李素和、李那優さん

 5月16日(土曜日)。

 水道橋の全水道会館に朝鮮学校の子ども11人と日本学校の子ども13人、ソウルからは「オリニオッケドンム」の子ども7人が集まった。午前中のワークショップではいろんなゲームをして遊び子どもたちはすっかり仲良しになった。午後のワークショップは昨年「ともだち展」と共に平壌とソウルを訪問した李素和、李那優さん(東京朝鮮第5・中3)による報告から始まった。

 この報告は午後の柳在守さんとの共同制作「平和の木」に繋がる大事なもので、この場にいない朝鮮の子どもたちへの思いをふくらませるものでもあった。平壌の小学校での交流の様子や共同制作の様子、加えてソウル訪問の様子など映像を交え、朝鮮語と日本語で行われた報告は、その場に集まった子どもや大人たちに内容をしっかり伝えるものとなった。

熱心に絵を描く子どもたち

 報告のあとは「平和の木」の共同制作である。

 会場中央の床に白い大きな紙がひろげられた。紙にはあらかじめ柳さんが描いた大きな木が柔らかい色彩で線描きされていて、すでに柳さんの世界が広がっている。柳さんはまず、「この大きな木をここに集まった皆の心を表現することで『平和の木』に仕上げよう」と話した。自分の描きたいもの、伝えたいことを自由に描いてみようと柳さん自身が筆をとって見せてくれた。

 私からはこの絵を4等分して、そのうち3枚をグループ別に描くことと、あとの一枚はこの場にいない平壌の子どもたちが描いてくれることを伝えた。一緒に描くことはできないけれど、この「平和の木」は日本に住む子ども、南北コリアにそれぞれ住む子どもたちによって完成することを重ねて伝えた。

交流を深めた朝鮮学校の生徒たちと南からの参加者ら

 子どもたちが一斉に絵を描き始めた。東京朝鮮第1から参加した女子はペンで人物を描いていたが、その上手さに同じグループの子どもたちが感心していた。午前中の活動ですっかり打ち解けた女子は布を切って紙に貼り付けては笑いあったりしていた。男子も相談しあいながら任された絵を熱心に仕上げていた。

 共同制作は柳さんの絵と、子どもたちの旺盛な表現意欲であっという間に色とりどりの大きな木に仕上がったのである。三つのグループに分かれて描いた絵が再び平壌で彩られる白地の紙の部分と一緒に並べられた。

 柳さんはこの絵を平壌の子どもたちが制作しやすいよう統一感のある絵に仕上げることを約束した。私は朝鮮学校の子どもたちと朝鮮を訪問し、残った4枚目の絵を平壌の小学生たちに届け一緒に描いてもらうことを約束した。

忘れない思い出

 今年の「ともだち展」のワークショップもにぎやかで楽しいものだった。子どもたちは言葉や文化の壁を乗り越え出会った喜びと、まだ見ぬ朝鮮の子どもたちへの思いを素直に表現してくれる。

 このワークショップでの朝鮮学校の子どもたちの存在は大きく、彼等自身が南北朝鮮と日本をつなぐ自身の役割を自然にはたしてくれている事がわたしにとっての喜びとなっている。ワークショップに参加した東京朝鮮第6の男子は期待と不安を胸に会場にやってきた。この日を振り返り彼は、「ワークショップに参加し、皆で描いた平和の木の共同制作のことを一生忘れない」と日記に書いたという。

 8月に平壌で仕上げられた「平和の木」は、9月には「第38回在日朝鮮学生美術展」の東京展会場で展示される。そして10月には「2009南北コリアと日本のともだち展」でも展示される予定だ。

 日本、平壌、ソウルのたくさんの人々に支えられ、子どもたちの共同制作「平和の木」は仕上がることだろう。(金聖蘭、東京朝鮮第5初中級学校美術教員)

[朝鮮新報 2009.5.29]