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第14回朝・日交換授業 北海道初中高 日本学校教師が朝鮮学校で授業

「学校は宝」−生徒たちの声に感動

 今年で14回目になる北海道朝鮮初中高級学校の朝・日交換授業が10月24日に行われた。この催しはドキュメンタリー映画「ウリハッキョ」に紹介され、各地でも大きな話題となった「北海道朝鮮学校を支える会」主催の行事である。

個性的な授業

日本語「河童と蛙」(壽原隆司先生、もみじ台中)
社会「未来型学習」(大滝修先生、写真左、取手松陽高)

 13年前、「大変な差別的状況にある朝鮮学校の先生や生徒たちを元気づけよう」と、2人の日本人教師によって初めて行われた交換授業。その後参加者は毎年増え、今回は18人の教師が朝鮮学校のために授業を行い、日本市民の見学者が117人にのぼる一大行事となった。

 まず1、2時間目に朝鮮学校教師が、その後3、4時間目に日本人教師が授業を行った。日本の太鼓を使った授業や、ベトナムの学校との交流体験を基にした授業、理科の実験授業など、生徒たちの興味をそそる内容が目白押しだった。

 第1回目から教壇に立ち、この13年間一生懸命朝鮮語を学び、今では朝鮮語で英語の授業を行う真駒内中の黒田敏彦先生。茨城県の取手松陽高から駆けつけ、自身の教え子とともにさまざまな国際交流体験を語った大滝修先生。「水の授業」と題し、水を日頃われわれがどれだけ利用しているのかを実際にペットボトルで表現し、その水が今、途上国でどれだけ貴重なものとなっているかをわかりやすく教えてくれた定山渓中の安孫子先生。そして去年は「歩く授業」、今年は「教えられる授業」など、奇想天外な哲学授業で生徒たちをあっと驚かせる有朋高の佐々木晴夫先生など、おなじみの先生たちは大人気だ。

歴史を学ぶ目的

美術「デッサン−感情を表す手」(宮崎亨先生、幌東中)
数学「ロジックパズルを作ろう」(大西智哉先生、真狩中)

ロジックパズルを解くぞ!

 4時間目に行われた日本の大学生と朝高生による対話集会。

 「私たち青年が歴史を学ぶ目的はどうあるべきか」というテーマで討論が行われ、朝高生が「ウリの歴史を子孫に伝える義務が私たちにある。われわれが伝えなければウリの歴史は消されてしまう」と発言したのに対し、日本の大学生は「自分は今まで、試験のために歴史を勉強することしかしてこなかった。まわりの友だちもみんなそうだった。子孫に伝えるためにと真剣に語り学ぶ人に初めて出会った」と語り、朝高生の真しな姿から多くのことを学んでいた。

 また、高3の生徒が祖国訪問直後ということもあり、その体験、感動を熱く語る姿に、大学生たちは興味深そうに耳を傾けていた。

 高3は、初級部1年生の頃から毎年この交換授業を受けてきた。日本学校の先生たちとはすっかり顔見知りになり、お互いを名前で呼び合うぐらいに親しくなった。

 授業の後は食堂でみんな一緒にピビンバを食べる。これもすっかり恒例になった。「これが一番の楽しみ。このために来ているようなもの」とおどける先生も。

 午後はウリハッキョの生徒たちによる公演が行われ、その後、藤代隆介先生による高3の祖国訪問報告集会が行われた。

 マスコミでは決して報道されない、朝鮮の真の姿を見て、人民の温かさに触れてきたという藤代先生の講演は、見学者たちに大きな感動を与えた。

明日への活力に

社会「水の授業(安孫子和典先生、定山渓中)

授業に集中する生徒たち

生徒たちによる歓迎公演

 報告集会の後、恒例の懇談会が開かれた。約3時間にわたって、この日に受けた感動を、朝鮮、日本の教師たちが互いに熱く語り合った。

 日本の先生たちは口々に、「生徒たちの授業態度が日本の学校では考えられないくらいすばらしい」「自分の大切な宝ものを書くように言った時、多くの生徒が『学校』と書き、学校の良いところを書くように言ったら、『先生』と書く子が多かった。こういうことを素直に書ける生徒は日本の学校にはなかなかいないだろう」「今の、いわゆる『北朝鮮バッシング』で、子どもたちが、力をなくしているのではと心配していたら、逆にそのおかげで、もっと『なぜなのか、本当はどうなのか』という問題意識をもち、学んでいる姿が印象的だった」「チョゴリを制服として、校内だけでしか着られない現状は異常である。いち早く改善すべく、努力しなくては」と語った。

 ウリハッキョの生徒たちも毎年、待ちわびている楽しい授業時間であるが、若い教師たちが圧倒的に多い朝鮮学校で、経験豊富な日本人教師たちによる授業は、朝鮮学校の教師たちにも良い学びの場になっている。

 英語分科の分科長を務める教員歴3年目の具聖潤先生は、「北海道という土地柄、他のウリハッキョとの交流も年に数回程度と少ない。そうした中で、この交換授業での授業参観が自分の教授力を高めるうえで大事な経験になっている」と語る。

 支える会事務局長の鈴木芳雄先生は、「朝鮮学校を支え、少しでも力になれればとの気持ちで始めたこの交換授業。今ではすっかり、日本の学校で疲れた先生たちが朝鮮学校の生徒と接する過程で、かえって朝鮮学校の生徒たちに支えられ、元気をもらう行事になっている」と語った。【北海道初中高】

[朝鮮新報 2009.11.27]