受け継がれる民族音楽

　朝鮮大学校学舎小平移転５０周年記念「第３０回朝鮮大学校定期演奏会」が１１月２６日、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センター大ホールで行われた。総連中央の許宗萬責任副議長、�｢益柱副議長兼民族圏委員会委員長、梁玉出教育局長、金剛山歌劇団の李龍秀団長、朝大の張炳泰学長、各地からかけつけた同胞や学生、朝高生、日本人士ら７００余人が総勢１８０余人の公演を鑑賞した。

１８０余人の公演に魅了

総勢１８０余人によるカンタータ「鴨緑江」（朝大・金賢哲氏提供）

　演奏会には８０余人の朝大管弦楽団（吹奏楽部、弦楽部、民族器楽部）、１００余人の合唱団（朝大合唱部、教育学部音楽科をはじめとする学生、西東京ヘバラギコーラス部、金剛山歌劇団声楽部、朝大教職員など）が出演した。

　先代の意を継ぎ、朝・日親善にも寄与しようという思いを込めた公演では、第１部で吹奏楽「愉快な舞踏曲」「アルメニアンダンス part１」、カヤグム２重奏「海のうた」、民族器楽重奏「トラジ変奏曲」、管弦楽「祖国のつつじ」「リョンガンキナリ」が、２部でカンタータ「鴨緑江」が披露された。

　約１時間半の優雅な公演に観客は万雷の拍手を送った。

　朝大管弦楽団の責任者、�｢炯烈さん（教育学部４年）は、「第３０回演奏会ということで緊張もしたが、朝大生一人ひとりが個人練習を重ねるなど、レベルを上げていった。私たちの奏でる音楽が、同胞の団結のために役立てれば」と語った。

　合唱団の一員として「鴨緑江」を歌いたいと志願し、兵庫県から参加した朴華蓮さん（24）は、「朝大在学中に歌ったときの感動を思い起こしたくて、飛んできた。ぜひまた参加したい」と話した。

今後も朝鮮の名曲を

すばらしい演奏を披露した朝大生たち（朝大・金賢哲氏提供）

　この日、公演会場を訪れた同胞、日本人士らは以下のような感想をそれぞれ述べた。

　李順分さん（西東京在住）　「これまでの人生が音楽とともに蘇ってきた。朝大生だからこその純粋で清潔感のある演奏会だった」

　申暢植さん（東京都在住）　「学生数が一時期に比べ減少しているというが、このようなすばらしい公演を行ったことに驚いた。とくに、『鴨緑江』は心に深く響いた。さすが朝大生は違うと、卒業生としてうれしかった」

　本郷文化フォーラムワーカーズスクール事務局の二谷隆太郎さん（公演後に寄せた感想文）　「演奏技術も、演奏内容も大変すばらしく、民族楽器とヨーロッパの楽器とが違和感なく音楽を奏でていることに、時間を忘れて聞き入らせていただきました。ことに、最後のカンタータ『鴨緑江』は、朝鮮半島の歴史を背景に思いながら聴くうちに感動し、涙が出てくるのを抑えるのがやっとでした」

　一方、朝大の盧相鉉教授（第３０回定期演奏会実行委員会委員長）は、第１回からの演奏会を振り返りながら、「朝大生が築いた芸術の火種を消すことなく、これからも定期演奏会を続けていきたい」と力強く語る。

　第１回演奏会時に中音チョッテ奏者として出演した朝大の崔振郁教授は、「卒業生が各地で教員となり、朝高生たちのレベルをあげ、現在の同胞音楽界を築いてきた」と語る。

　合唱部の活性化にも尽力していきたいという朝大では、今後も朝鮮の名曲と在日同胞に愛される曲、そして世界の名曲を演奏し続け、同胞社会の豊かな文化生活の発展に寄与していきたいという。（李東浩記者）

［朝鮮新報 2009.11.30］