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そこが知りたいQ&A−09年 3紙共同社説の特徴は?

50年代「大高揚」の再現を強調

 朝鮮労働党中央委員会機関紙の労働新聞、朝鮮人民軍最高司令部機関紙の朝鮮人民軍、金日成社会主義青年同盟中央委員会機関紙の青年前衛は1日、「総進軍のラッパの音高らかに鳴り響かせ今年を新たな革命的大高揚の年として輝かそう」と題する共同社説を発表した。その内容と特徴についてQ&Aで見た。

 Q 今年をどのように位置付けているのか。

 A 「全人民的な総攻勢によって強盛大国建設の各部門で歴史的な飛躍を遂げるべき新たな革命的大高揚の年」と位置付けている。

 また、2012年までに強盛大国の大門を開く決意を改めて強調したうえで、「重大な歴史的局面」にあると指摘。冒頭では、「歴史の分水嶺をなす希望に満ちた新年」と規定した。

 昨年については、各地工場・企業所での現代化や発電所建設、首都整備など各分野での成果をあげながら、「60年にわたるわが国の誇らしい年代記に輝かしい勝利の章を記録した歴史的転換の年」だったと総括した。そして、「ついに、長い歳月渇望していた理想社会の入口にたどり着いた」と指摘している。

 Q 今年の特徴は?

 A 共同社説のタイトルや、スローガンとして掲げた「革命的大高揚の偉大な伝統を継承して先軍朝鮮の輝かしい全盛期を開いていこう!」にもあるように、「革命的大高揚」というフレーズが随所で登場するのが大きな特徴だ。

 このフレーズは、金正日総書記が昨年12月24日に千里馬製鋼連合企業所(平安南道)を訪れた際に登場した。総書記が自ら「新たな革命的大高揚の烽火」を上げたと報じられた。

 これについて共同社説は、「主席が千里馬運動の偉大な発端を開いた1956年12月のその時と同じように、わが党と革命発展の一大転換期をもたらした特筆すべき出来事」と意義を強調している。

 50年代当時、主席の現地指導が「千里馬大高揚」で社会主義工業化をもたらしたように、これを再現させようという意図がはっきりしている。社説は、「千里馬の大進軍で祖国史にかつてなかった大革新、大飛躍を起こす」ことを呼びかけている。

 年が明け、朝鮮国内では「新たな革命的大高揚」を起こすことを呼びかける大々的なキャンペーンが繰り広げられている。

 今後の強盛大国建設において、「新たな革命的大高揚」というフレーズがキーワードとなりそうだ。

 Q 具体的な課題は何か。

 A 課題の全体的な方向性として、「不屈の精神力とあらゆる潜在力を最大限に動員して革命的大高揚によってすべての部門で一大飛躍を起こす」と指摘している。

 課題はおおまかに、強盛大国建設と軍事問題になっている。

 強盛大国建設の具体的課題としては、一心団結や自力更生問題などを強調したうえで、経済と文化・教育・スポーツを取り上げている。中でも経済の言及がもっとも多く、5つに分けて言及されている。▼人民経済重要部門▼人民生活向上▼建造物建設、国土管理▼経済管理の改善▼科学技術の発展だ。

 経済部門の1番目に上げられている人民経済重要部門とは、電力、石炭、金属工業と鉄道運輸の4部門を指す。従来は各部門を同列に扱っていたが、今年は金属工業の優先的発展を中心に展開している。これは、「新たな革命的大高揚」を強調しているのと関連していると思われる。

 軍事部門では、「現情勢と革命発展の要請に応えて」と前置きし、「国の軍事力の強化に引き続き最大の力を注ぐべき」と指摘している。民間武力の強化を指摘しているのも特徴としてあげられる。「労農赤衛隊創建50周年にあたる今年、民間武力強化で新たな転換をもたらすべき」としている。

 Q 統一問題についての言及は?

 A 南朝鮮での保守政権登場によって、統一運動は重大な危機に直面していると昨年を総括した。

 李明博政権に対して「南朝鮮保守当局」と表現するにとどめているものの、「6.15共同宣言と10.4宣言を全面否定し、ファッショ独裁時代を復活させ、北南対決に狂奔している」と手厳しい。また同政権の対北政策を「時代錯誤的」と断罪し、「破綻に直面している」と指摘した。

 北側は南側に対して宣言の履行を一貫して求めているが、その立場は共同社説においても強調された。

 南側に対し、「北南共同宣言から脱線するいかなる要素も許さない」と釘を刺し、関係回復のためには宣言の履行が不可欠との認識をあらためて示した。

 社説は統一運動の活性化に向けて▼北南共同宣言の擁護、履行▼「わが民族同士」の具現▼民族和解と団結の実現などの課題を打ち出した。また南朝鮮人民に戦争の危険を取り除くためのたたかいを展開するよう訴えている。

 Q 対外関係は?

 A 対米関係については直接的な言及はなく、日本に対しては今回も言及自体がなかった。

 核問題と関連しては、「朝鮮半島非核化」という表現が注目される。社説は「朝鮮半島の非核化を実現し東北アジアと世界の平和と安全を守るためのわが国の自主的な対外政策の正当性は日ごとに力強く誇示されている」と指摘した。全朝鮮半島非核化に向けた強い意志が見て取れる。

 また、自主・平和・親善の理念の下、各国との関係を発展させると宣言、今年も幅広い外交を展開していく意向を明らかにした。

 Q このほか注目点は?

 A 「われわれの未来は実に明るく洋々」「こんにちの世界に、わが国のように政治的に安定し、全人民が未来への大きな希望と抱負、信念にあふれている前途洋々たる国はない」などのくだりからは、内外情勢に対する楽観と相当な自信が読み取れる。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2009.1.13]