〈2008年 総書記の活動〉 「2012年構想」へ拍車 |
建国60周年を迎えた2008年、金正日総書記は政治、経済、軍事などさまざまな分野で精力的な活動を行った。1日に発表された新年共同社説は、昨年総書記が行った前線や全国各地での現地指導を「伝説的な強行軍」と振り返った。昨年1年間の活動をまとめた。 経済視察は42単位
朝鮮中央通信が伝えた昨年の総書記の活動は119回(表1参照)。軍事(52回)、経済(42回)分野に集中した。 08年の共同社説は、経済と人民生活の水準を引き上げ、金日成主席生誕100周年を迎える2012年に「強盛大国の大門を開く」という「2012年構想」を打ち出し、先軍路線を堅持しつつその主要目標を経済に据えた。 08年、最初に報道された現地指導は、礼成江発電所の建設現場(1月6日発)だった。年初の視察地は、その年の方向性を示唆する象徴として、注目されてきた。そして暮れもおしつまった08年最後の活動は、千里馬製鋼連合企業所への指導(12月24日)だった。
経済視察の対象は42カ所に達し、07年の30カ所よりも12カ所多い。 分野別にみると、農業、畜産、水産部門の16カ所が最多で、食糧問題解決に向け大きな力が注がれたことがうかがえる(表2参照)。この分野は07年5カ所、60年も5カ所だった。 08年共同社説は、「人民生活第一主義」のスローガンを打ち出し、「現在、人民の食糧問題、食の問題を解決することより切実で重要な課題はない」と強調した。国際的に穀物価格が上昇し、各国で食糧問題が焦眉の問題となった08年。朝鮮も例外でなく、食糧自給によって同問題を克服することを強く呼びかけた。 ほかには、金属部門の4カ所が目を引く。 興南製錬所(5月31日発)、9月製鉄総合企業所(6月15日発)、2月製鋼総合企業所(12月17日発)、千里馬製鋼連合企業所だ。 9月製鉄は昨年、「チュチェ鉄」と呼ばれる朝鮮独自の鉄生産工程を完成させた。千里馬製鋼は10月、超高電力(UHP)電気炉の製造に成功。2月製鋼は「チュチェ鉄」による鋼鉄増産システムを確立し、飛躍的な鋼材生産が担保できる礎を築いた。
鋼鉄の増産は朝鮮経済の復興の源となる重要な要素だ。総書記も現地指導の際、「製鋼工業は経済強国建設においてもっとも重要な部門の一つ」(12月24日発朝鮮中央通信)だと指摘した。とくに、千里馬製鋼を現地指導しながら、「新たな革命的大高揚の烽火を上げた」ことは、「2012年構想」実現に向けて拍車をかけたものとして注目される。 総書記は、「2012年までに必ず強盛大国の大門を開け放って先軍朝鮮の尊厳と威力をさらに高くとどろかせよう」(同上)と強調した。 地域別では、慈江道と平安北道に集中した(表2参照)。 労働新聞などの国内メディアが、総書記の活動を「吹雪強行軍」「三伏期強行軍」などと大書特筆したのも印象的だ。 中国党、政府高官と会見 外交分野では、中国の党、政府要人と会見した。共産党中央委員会の王家瑞対外連絡部長(1月30日)、習近平副主席(6月18日)らである。3月1日には、駐朝中国大使館を訪問している。 朝中の友好関係は北京五輪聖火リレーをはじめ、政治、経済、芸術、スポーツなど各分野でも強調された。 朝中国交樹立60周年を迎える09年に先立ち、友好発展への確固たる意思を示したものと思われる。 「歴史的な施政演説」 このほかでは9月5日、労働新聞と民主朝鮮に談話「朝鮮民主主義人民共和国は不敗の威力を持つチュチェの社会主義国家である」を寄せた。 「歴史的な施政演説」(労働新聞10月13日付社説)と位置づけられた談話は、建国以来60年の歴史を総括し、先軍時代の国家発展の総合的な方向性と戦略を明示した。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2009.1.14] |