top_rogo.gif (16396 bytes)

祖平統1月30日声明 南のNLL固執で緊張激化

原則に沿った対応措置

 既報のように、朝鮮の祖国平和統一委員会(祖平統)は1月30日、▼北南朝鮮間の政治・軍事的対決状態の解消と関連したすべての合意事項の無効化、▼「北南間の和解と不可侵および協力、交流に関する合意書」(1991年採択、92年発効)とその付属合意書にある朝鮮西海海上軍事境界線関連の諸条項の廃棄を宣言する声明を発表した。

 今回の声明は、南朝鮮の李明博政権が西海上をはじめとする軍事境界線一帯に陸、海、空軍武力を大々的に集中させている事実に言及し、「もはや北南関係をこれ以上収拾する方法も、回復させる希望もなくなった」と断言した。

 北側は昨年からさまざまな声明や談話、メディアの論評などを通じて、北南関係に対する姿勢を改めるよう李明博政権に繰り返し忠告してきた。

 しかし、6.15共同宣言と10.4宣言を否定し、同族対決を追求する李政権の政策路線に変化はないばかりか、逆に対決姿勢をあらわにしている。

 こうした事実に対処して、北側は昨年12月、軍事境界線の陸路通行遮断を含めた「重大措置」の履行を南側に通告。今年1月17日には朝鮮人民軍総参謀部スポークスマン声明を通じて、南側との「全面対決態勢に入る」ことを明らかにした。

 李明博政権によって過去の全ての北南合意が死文化、白紙化した状況で、「われわれだけが過去の合意に拘束される必要はない」と主張した。

 西海では1999年と2002年の2度にわたって北と南の間で武力衝突が起きた。米国が一方的な境界線を主張しているため、衝突の危険を常にはらんでいる水域だ。

 南朝鮮軍部内では戦争熱を鼓吹する動きが顕著だ。李相熹国防長官は今年元旦、「北方限界線」(NLL)海域を担当する海軍艦隊を訪問、第3の西海交戦に向けた準備に万全を期すことを指示し、「敵の挑発抑制」を強調するなど、NLLを保持するためには武力衝突もいとわないという李政権の姿勢があらわになった。

 祖平統声明は、北側が「西海での軍事的衝突を防止し、問題の水域を平和水域に変えるために可能な全ての努力を傾けてきた」点について強調した。また、海上軍事境界線関連条項を破棄したことについて、「南朝鮮当局の好戦的策動に対処して不可避的に講じた断固たる措置」だと主張した。

 ただし、同声明は合意事項の無効化の範囲を政治・軍事的対決状態の解消問題に関する項目に限定している。経済分野をはじめとする協力、交流問題には言及していない。

西海境界線問題の経緯

 朝鮮西海上の境界線と関連した両者の合意は、北南基本合意書、およびその付属合意書にある西海上軍事境界線関連条項が唯一のものだ。しかし、同条項の内容は境界線の位置を定めたものではない。

 西海の北南境界線付近は、いまだに戦争の火種として残っているのだ。(地図参照)

 53年7月27日に結ばれた朝鮮戦争停戦協定は地上の軍事境界線については確定したが、海上の境界線に関しては見解の一致を見ることができなかった。

 南側が主張しているNLLは、停戦協定に反対した李承晩政権の「単独北進」を防ぐために米国が同年8月30日に一方的に引いた線だ。朝鮮は、朝米間でも北南間でも合意がないNLLを認めていない。

 南側がNLLに固執し、自らの度重なる侵犯行為を正当化し続けた結果、99年6月15日と02年6月29日、同海域で北と南の軍事衝突が起こった。

 99年の衝突直後から同年9月まで、事態を収拾するための朝米将官級会談が6回にわたって行われた。会談で朝鮮は、国際法的規範にのっとった境界線の設定案を提示するなど問題の解決に向けて努力を傾けたが、米国側は問題の討議自体を拒否した。結果的に朝鮮は、朝鮮人民軍総参謀部の特別報道(99年9月22日)を通じて、自身が設定した線を西海軍事境界線とすることを宣言した。

 2000年、6.15共同宣言が発表された後には、海上境界線を公正に確定するための会談が北と南の間で行われた。

 北側は西海での軍事衝突の根源を取り除くために、過去における双方の主張を無効とし、新しい土台の上で新たな解決を模索することを主張したが、南側がNLLに固執したため、協議はそれ以上進展しなかった。

 07年10月の首脳対面と会談の結果、北と南は西海での偶発的衝突を防止するために共同漁労水域を設定し、同水域を平和水域にすること、黄海南道海州地域とその周辺海域を含む「西海平和協力特別地帯」を設置することに合意した。

 直後に開かれた北南人民武力部長(国防長官)級会談(11月27〜29日)では、これらの問題が集中的に話し合われ、双方は今後も協議を続けていくことで合意した。

 しかし、このような努力も、昨年2月の李明博政権発足以来、中断されたままだ。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2009.2.6]