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〈月間平壌レポート -09年3月-〉 各方面で4月迎える準備

国守りぬく誓い新たに

 【平壌発=呉陽希記者】18日、平壌の最高気温は19.7℃を観測した。平年より10℃も高かったという。あちこちで花の開花日を予測する話題が飛び交い始めたが、その翌週になって寒さがぶり返した。25日には午前9時頃から視界を遮るほどの雪が降った。しかし正午になると雪はすっかりやみ、午後には暖かな春の日差しが降り注いだ。朝鮮でもっとも華やかな4月を迎える準備が各方面で進められている。

投票日は「お祭り」

投票を終え、笑顔で会場を後にする有権者たち(8日の最高人民会議第12期代議員選挙) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 最高人民会議第12期代議員選挙の投票が8日、全国でいっせいに行われた。代議員選挙は5年に1度行われる。中央選挙委員会によると、外国や遠洋で働いている有権者を除く全有権者が投票に参加した。

 朝鮮で投票日は「お祭り」ムードに包まれる。居住地域の選挙区で投票を行った本紙平壌支局の現地スタッフは、その日が日曜だったことから投票後は友人たちと酒盛りをして祝ったという。

 彼は「投票は朝鮮の公民として果たすべき当然の義務だ。私が賛成票を投じた候補も80年代に北方の道路工事で功績を残した素晴らしい人物」だと誇らしげに語る一方、朝鮮が「苦難の行軍」といわれる経済的試練の渦中に行われた1998年7月の第10期代議員選挙投票を回顧する。

 「当時、人びとの生活はどんなに苦しかったことか。それでも逃げ出さずに社会主義の道を歩むと決めた。そのときわれわれはこの社会を守り抜くことを誓った」

現地指導「こぼれ話」

 3月初旬から平壌ホテル内部の補修のため、同ホテル内にある支局事務所にホテル整備課の従業員が出入りしている。彼らが入ってくるなり目をやるのが、事務所内にある国内各紙の1面。金正日総書記の活動が報道されている日は、紙面を追う視線にも普段より熱がこもる。

 年始から総書記の精力的な活動が伝えられている。この3月も、北は両江道の三池淵地区から南は黄海南道まで広範囲にわたる現地指導を行った。

 平壌では、朝鮮中央通信や労働新聞が報じる内容以外のこぼれ話も耳に入ってくる。

 太陽節(4月15日)に際して行われる「4月の春親善芸術祭典」に参加するため、平壌に滞在している金剛山歌劇団のある俳優は18日、所用で金元均平壌音楽大学を訪れた。校内には常ならぬ厳重な警備が敷かれており、何らかの「行事」が催されているとのことだった。

 その翌日の19日発朝鮮中央通信は、総書記が平壌市内の大学生の芸術サークル公演を観覧したことを報じた。その公演が行われた場所がまさに同校の音楽ホールだった。

 また、金日成総合大学に新設されたプールに対する現地指導(19日発朝鮮中央通信)にまつわる話も聞いた。

 同校のある教員は、総書記が13年ぶりに同校を訪れたことに興奮さめやらぬ様子だった。総書記は同校を訪れた際、総長を含む3人と並んで記念写真を撮った(労働新聞21日付1面に掲載)。しかし実際に校内では、総書記と同じフレームに収まろうと切望する教職員が行列をなしていたそうだ。総書記は、また次の機会に記念写真を撮ろうとの約束を残し同校を後にしたという。

 今月、支局にはこのような「こぼれ話」を持ち寄る人びとが後を絶たなかった。

最高人民会議公示

 2012年に「社会主義強盛大国の大門を開く」という「2012年構想」の実現に向けた動きも可視化している。強盛大国への道筋を示すであろう政治・経済的重要事項が今月、相次いで発表された。

 朝鮮宇宙空間技術委員会スポークスマンが2月24日に試験通信衛星「光明星2号」の発射準備を行っていることを発表したのに続き、朝鮮中央通信は12日、朝鮮が国際宇宙条約に加盟したことを報道した。

 また、最高人民会議常任委員会は16日、第12期第1回会議を4月9日に開催する決定を公示した。

 「光明星1号」が発射(1998年8月31日)された直後に行われた第10期第1回会議(同年9月5日)では憲法が改正され、国防委員会を国家の最高機関にすることなど重要な決定がなされた。似たような情勢の下で開かれる今回の会議に対しても、人びとの関心が高まっている。

 昨年春から大改修を行っている平壌大劇場の工事が完了間近だ。昨日までは砂利だった劇場正面の広場が一昼夜でコンクリート地面に変わり、あちこちに積まれていた資材もいつの間にかなくなっている。日進月歩で飛躍を遂げる朝鮮の縮図を見ているかのようだった。

[朝鮮新報 2009.3.27]