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人工衛星「光明星2号」発射の成功 宇宙開発 高まる期待

 朝鮮は5日、国産ロケット「銀河2号」で試験通信衛星「光明星2号」を打ち上げた。1998年以来2度目となる人工衛星打ち上げは、朝鮮国内の人びとに自国の科学技術発展に対する明るい展望をもたらした。衛生実用化に対する期待や宇宙開発事業参入への決意など、人びとの反応はさまざまだ。「強盛大国の大門を開く」2012年に向けた取り組みを進めている各分野で、現場の声を拾った。

「近年中に実用衛星を」 気象分野の展望

 人工衛星打ち上げを機に、朝鮮ではさまざまな分野で衛星通信技術に対する要望が高まっているが、中でもとくに大きな期待を寄せているのが気象分野だ。

 気象水文局中央気象研究所のコ・サンボク所長(62)は、「気象予報分野のさまざまな問題を解決する突破口を開いた」と、今回の衛星打ち上げ成功の意義について強調する。試験通信衛星の打ち上げが気象衛星をはじめとする実用衛星を打ち上げる前段階にあたるためだ。

 近年、地球温暖化によって世界的に洪水や干ばつ、台風、津波などの異常気候現象が頻繁に起こっている。朝鮮でも人びとの生命、財産保護や経済発展のために、これらの災害性気候現象を事前に予測して被害防止対策を徹底的に講じる必要性が高まっている。

 コ所長によると現在、国内の気象予報システムに関しては短期、中期、長期の天気予報と農業気象予報、海上予報のシステムが確立されているという。近年、黄砂と炭素ガス予報のシステムも新たに構築された。これらに基づいて、天気予報のみならず人民経済の諸部門に必要とされる気象データを迅速に提供しているという。

 また、国内各地に設置された数十ヵ所の気象観測所では3時間ごとに気圧、気温、湿度、風をはじめとするさまざまな大気現象に対して観測を行い、中央気象研究所にデータを送っている。

 朝鮮は世界気象機構(WMO)の加盟国として、国内の気象予報データを中国、ロシアなどと相互共有している。一方で、これら諸国の静止気象衛星のデータをリアルタイムで受信。提供されたデータに基づいて雲の移動を監視し、その方向を予測するとともに、上空の温度測定、雲の高さの測定、降水区域の確定などの作業を行っている。また、極軌道衛星からのデータに基づいて海水温度の測定、漁場探索、農作物の作柄と収穫量の判定、干ばつと洪水、山火事の監視なども行っている。

 気象分野における衛星データの重要性は多言を要さない。コ所長は、「近い将来、実用的な極軌道気象衛星や静止気象衛星を打ち上げるようになれば、気象予報分野において大きな発展が見込める」と、自前の気象衛星の開発、導入を示唆した。他国に頼らなくても必要な観測データを得られるメリットは大きい。

 「今後打ち上げられる気象衛星は朝鮮を中心に観測活動を行うため、現在より予報の正確性は高まる。コンピュータによる数値解析のレベルも格段に上がるだろう」というのがコ所長の見方だ。【平壌支局】

「飛躍のきっかけに」 経済分野にも波及

人工衛星の打ち上げは経済各部門にも刺激を与えることが期待されている(写真は平壌製糸工場)

 「光明星2号」発射成功のニュースは経済分野でも波紋を呼んでいる。関係者らは人工衛星の開発と打ち上げが、経済分野の技術革新を推し進めるきっかけになると指摘している。

 朝鮮初の衛星である「光明星1号」の発射は、「苦難の行軍」と呼ばれた90年代後半の試練を克服するきっかけになった。今年の3紙共同社説は、「祖国の歴史にかつてなかった一大革新、飛躍を起こす」必要性を指摘している。

 金正日総書記は最近3カ月間だけでも楽元機械連合企業所、金策製鉄連合企業所、2.8ビナロン連合企業所など各地を現地指導。現場では原料と資材、労力を抑えながら生産を飛躍的に伸ばす根本的な方法は技術革新にあると重ねて強調している。

 現場の幹部らは今回の衛星発射を通じて自国の科学技術発展の未来に対する確信をさらに深めたという。今年1月、総書記の現地指導を受けた平壌製糸工場のキム・ミョンファン支配人(48)は、「衛星打ち上げのニュースに接して新たな活力がわいてきた。技術革新の課題を必ず解決してみせる」と話した。【平壌支局】

宇宙分野の人材育成に拍車 若い世代に刺激、「先輩に続く」

金日成総合大学物理学部のパク・ハクチョル学部長

 「光明星2号」発射成功のニュースは宇宙分野の未来を担う若い世代の熱意をかきたてている。金日成総合大学、金策工業総合大学、理科大学など「光明星2号」打ち上げに関わった科学者たちの出身大学、出身学部は喜びに沸いた。衛星打ち上げ成功の知らせに接した在学生たちは、先輩の後に続いて強盛大国建設に貢献する科学者になる決意を新たにしていた。

 5日17時、朝鮮中央テレビのニュースが「光明星2号」の発射と軌道進入の成功を伝えると、金日成総合大学では教職員と学生たちが互いに抱き合い、喜びの声を上げた。

 「先端科学技術の象徴である人工衛星と運搬ロケットを自国の技術で開発し軌道へ進入させたことは、国力の一大デモンストレーションになる」

 同大学物理学部のパク・ハクチョル学部長(46)は、「われわれは資源探査と気象予報、通信など宇宙空間での科学研究事業の発展に確かな展望を開いた」と語った。

 パク学部長は、「3基目の人工衛星開発者になろうという学生たちの意欲が高まっている。宇宙航空分野で収めた成果に合わせて、今後も国が必要とする人材育成に取り組んでいきたい」と話した。

 同学部で学ぶキム・チョルジンさん(22)は、「自前の人工衛星はわが国の科学技術分野の輝かしい未来の象徴だ。この大学で学ぶ誇りを胸に、高い目標に向かっていっそう努力していきたい」と話した。

 理科大学コンピュータ学部のリュウ・クムソンさん(23)も、「卒業後は宇宙開発分野に進みたい」と抱負を語った。

 金策工業総合大学電子工学部の学生、ミン・チョルジュンさん(20)は「強盛大国の建設は科学技術の発展にかかっていることを痛感した」と心境を語った。【平壌支局】

[朝鮮新報 2009.4.8]