米国政府の制裁論を非難 朝鮮外務省スポークスマン |
「人工衛星をミサイルと強弁」 外務省スポークスマンは4日、朝鮮の人工衛星打ち上げを弾道ミサイル発射として既成事実化しようとする米国の動きを問題視し、米国の現政権を「『変化』と『多国間協力外交』を主張しているが、自国の意にそぐわない国を力で圧殺しようと狂奔した前政権と少しも変わるところがない」と非難した。 人工衛星「光明星2号」の打ち上げを問題視した国連安全保障理事会の議長声明採択に対して、朝鮮は4月14日の外務省声明を通じて6者会談不参加と自衛的核抑止力の強化を宣言した。 その後、29日には朝鮮企業に対する安保理の制裁を非難、大陸間弾道ミサイル発射実験と2度目の核実験の可能性も示唆した。 安保理の強権によって6者会談の枠組みが事実上破たんしたことを受けて、問題解決に向けた関係各国の外交が本格的に動き出しつつある。 米国は、ウッド国務省スポークスマン代行が4月30日、「必要があれば他の外交的選択肢を検討する」と述べるなど、破たんした6者会談以外の枠組みを模索する可能性を示唆した。 一方で、クリントン国務長官が同日の上院歳出委員会で「(朝鮮は)国際社会で自らさらに深い墓を掘っている」と述べ、朝鮮側が6者会談と核施設の無力化再開に応じなければ「いっさいの経済支援を与えない」と言明するなど、強硬姿勢をちらつかせている。 これに対して朝鮮は制裁論に傾きつつある米国の動きをけん制し、この問題に対する自国の立場を再度表明した。 外務省スポークスマンは4月5日の衛星打ち上げについて、「宇宙空間の平和的利用に向けた自立的な科学研究発展のためのもの」だとあらためて正当性を主張した。 また、「米国の科学研究機関と軍事専門研究所、軍事部門の情報機関も衛星打ち上げの成功を確認している」が、「唯一、米国政府とその追従勢力だけが衛星打ち上げを弾道ミサイル発射だと強弁している」と米国の対応を批判した。 スポークスマンは、米国が朝鮮の衛星打ち上げを一貫して弾道ミサイル発射だと主張するのには、「何とかして制裁の口実を設け、朝鮮の国防工業を物理的に窒息させようとする政治的思惑がある」と指摘した。 そのうえで、衛星打ち上げ問題を国連安全保障理事会に持ち込み、拘束力のない議長声明を発表し、朝鮮に対する制裁を実行に移した挑発行為は「何をもってしても正当化できない」と非難した。 スポークスマンは「力によってのみ国の自主権を守れるというのが、こんにちの国際関係の現実が示す教訓」だと指摘し、「国の自主権と生存権を守るために核抑止力強化の道を選択したことは正しかった」と主張した。 [朝鮮新報 2009.5.9] |