核抑止力強化の立場強調 朝鮮外務省スポークスマン |
「米の敵視政策に変化ない」 朝鮮外務省スポークスマンは8日、米国のオバマ政権発足後100日間の政策動向を見極めたうえで、同政権の「対朝鮮敵視政策にはいささかの変化もないことが明白になった」と指摘した。さらに、「われわれを変わらず敵視する相手と向き合っても、生まれるものは何もない」と断じ、核抑止力を強化していく姿勢をあらためて強調した。 スポークスマンは朝鮮中央通信社記者の質問に答えて、「朝鮮が自ら選択した思想と制度を消し去ろうというのが現在まで続く米国の対朝鮮敵視政策の本質」だと指摘。「現大統領は朝鮮の平和的衛星打ち上げを『挑戦』『挑発』などと問題視し、国務長官は朝鮮に対して『暴政』『不良国家』などと、前政権の敵対的な発言をそのまま受け継いでいる」と米国の姿勢を非難した。 さらには、「現政府の朝鮮敵視の姿勢は高官の発言だけにとどまらない」とし、3月に行われた南朝鮮との合同軍事演習や、朝鮮の人工衛星打ち上げを非難する国連安全保障理事会の議長声明採択などに言及した。とくに、議長声明の内容に基づいて行われた朝鮮企業に対する制裁については、「朝鮮の国防工業を物理的に抹殺しようとしている」と強く非難した。 また、国防力強化に向けた最近の一連の措置は「国の安全と民族の自主権を守るためのものであって、決して誰かの注意を引いて対話をしようとするものではない」と主張した。 外務省スポークスマンの今回の発言は、朝鮮の人工衛星打ち上げを弾道ミサイル発射として既成事実化しようとする米国の動きを問題視し、現政権を「『変化』と『多国間協力外交』を主張しているが、自国の意にそぐわない国を力で圧殺しようと狂奔した前政権と少しも変わるところがない」と非難した1日の発言に続くものだ。 7日から12日にかけて米国のスティーブン・ボズワース朝鮮政策担当特別代表が中国、南朝鮮、日本、ロシアの4カ国を歴訪するなど、問題解決に向けた関係各国の外交が本格化している。訪問期間中、ボズワース特別代表は核問題の解決に向けて6者会談のほかに米朝2国間対話も行うことができるとの立場を表明する一方、朝鮮が再び核実験を行った場合は「応分の対価を支払うことになる」と述べた。 外務省スポークスマンの一連の立場表明は、米国など関係国の外交的動きを念頭に置いたものといえる。米国が敵視政策を撤回していない以上、オバマ政権と対話する意味はなく、核抑止力を強化せざるをえないという原則的な姿勢をあらためて明確にした。 軍事的挑発を非難 朝鮮は軍事的挑発を続ける米国の姿勢についても批判している。とくに、ウォルター・シャープ南朝鮮駐留米軍司令官の4月22日の演説を問題視している。 シャープ司令官は南朝鮮に戦時作戦統制権が返還されても「米韓相互防衛条約」は有効という見方を示したうえで、南朝鮮に対する「核の傘」公約の維持、「作戦計画5029」の完成なども示唆した。また、朝鮮の「急変事態」に対処して「即応戦闘態勢を維持」しているとも述べた。 労働新聞5日付の論評は、米軍司令官のこれらの発言には「北侵戦争の準備を急ぐ企図が潜んでいる」とし、「米国の対朝鮮敵視政策をそのまま代弁したもので問題視せざるをえない」と批判した。 また、「朝鮮が検証可能な方法で核を廃棄し、6者会談に復帰しなければならない」という発言に対しても、「北侵戦争計画の完成と南朝鮮に対する『核の傘』提供を強調する一方で、朝鮮に対して核廃棄を主張するのは、武装を捨てて両手を上げろというのと同じ」と一蹴した。 論評は「作戦計画5029」の危険性や米、南朝鮮軍による挑発行為を実例を挙げて明らかにしたうえで、「日増しに露骨になる核戦争策動に対処して自衛的核戦争抑止力を備えたことの正当性を切実に感じている」などと強調した。 [朝鮮新報 2009.5.11] |