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今年は短期祖国訪問実施30周年 各地同胞 障害乗り越え相次ぎ祖国訪問

親族と再会、祖国の現実体感

千里馬銅像前で記念写真を撮る第53回同胞祖国訪問団

 【平壌発=文・呉陽希、写真・文光善記者】日本各地の同胞らが日本当局の「制裁」という障害を乗り越え、大型連休の始まった4月末から相次いで祖国を訪問している。東京・荒川同胞祖国訪問団(4月27日〜5月5日)をはじめ、大阪(5月1〜5日)、京都(5月11〜18日)、兵庫(5月11〜18日)同胞訪問団、そして日本各地の同胞で構成された訪問団(5月15〜23日)が祖国で活動を繰り広げた。

 今年は在日同胞の短期祖国訪問が実施されてから30周年になる。各訪問団は、「在日同胞短期祖国訪問実施30周年記念」という名称をつけている。

 1979年8月12日、初の同胞短期祖国訪問団が新潟港を出発したあの日から念願だった祖国往来の新たな歴史が始まった。

 あれから30年、意義深い記念の年に祖国を訪問した同胞たちは現地の家族・親せきと肉親の情を分かち合い、また、平壌市と開城市、板門店などを参観しながら強盛大国の実現に向けて奮闘する祖国の現実を体感した。

49年ぶりの再会

帰国したチョン・ヘヨンさん(写真中央)と面会する姜易金さん(写真右)、鄭泰順さん(写真左)

 姜易金さん(73)は総連兵庫同胞祖国訪問団のメンバーとして、義妹の鄭泰順さん(62)とともに初めて祖国を訪問し、黄海北道・沙里院市で暮らす義妹のチョン・ヘヨンさん(65)と再会を果たした。1960年にヘヨンさんが帰国して以来、49年ぶりのことだ。

 姜さんは、長い間不自由だった足を2年前に手術、自力で歩くことができるようになったことで訪問を決意した。

 「面会場に行くと自然と目が合った。家族に会えた感動は、言葉では表現できない」

 姜さんと鄭さんは、1週間の滞在期間中5日間をヘヨンさんの自宅で過ごした。その間、沙里院民俗通り、正方山なども参観した。ある日は孫らが2人のために「還暦と古希を祝う会」を用意してくれた。夜が更けるまで宴会を楽しんだという。

 「(ヘヨンさんは)暮らしぶりも良くかわいい孫らもいて、とても幸せそうだった。今日まで国の恩恵の中で生きてきたということがよくわかった。49年間の空白を埋めるように話が尽きなかった」

 姜さんは初めての祖国訪問を振り返りながら、「よそよそしい感じがまったくなかった。一日一日が早く、楽しいことの連続だった」と話した。

「願いは運航再開」

平壌空港に到着した祖国訪問団メンバー

 5月15〜23日に祖国を訪れた女性同盟神奈川神港支部の李点岳(78、同支部顧問)、李陽徳(83)さん、女性同盟神奈川横浜支部の黄甲出(70)、「正順(70)さんらは、これまで約20年間、一緒に祖国を訪問してきた仲間だ。「万景峰92」号の以前、新潟−元山間を運航していた「三池淵」号で偶然同じ部屋になったことが縁という。

 毎年訪問している4人は、互いの予定を確認しあい一緒に祖国を訪れている。今年は9月頃の訪問を予定していたが、一人の日程が合わず5月に切り替えた。

 現在、在日同胞らは日本当局の「制裁」によって「万景峰92」号の航路が遮断されたことで、航空便での訪朝を強いられている。日本当局は今年4月、朝鮮が打ち上げた人工衛星を「弾道ミサイル」だと強弁しながら、「制裁」措置を延長。その期限を半年から1年に延ばした。祖国訪問事業に人為的な障害をつくる日本当局の策動は、同胞に精神、肉体的および財政的な負担を強要している。

 約20年間一緒に訪問してきた4人も2007年からは飛行機を利用している。今年は中国・北京で一泊して翌日に平壌入りした。李陽徳さんは、「言葉の通じない中国は不便だった。もううんざりだ」と話す。

 4人は、「願いは『万景峰92』号の運航が早急に再開されること」だと口をそろえる。

 29年間毎年祖国を訪問している李点岳さんは、「祖国に来るとなぜか力が湧いてくる」としながら、「私たちは祖国とのきずなを大事にしながら総連とともに人生を歩んできた。日本当局は祖国と総連に引き続き圧力を加えているが、私たちは最後までたたかい続ける」と話した。

「代を継いで」

 5月15〜23日に訪朝した総連長野県本部の李光相委員長、西東京東部支部管下の鄭潤a、金蒔子夫婦はそれぞれ親族の結婚式に参加した。

 5月21日、平壌ホテルでは李光相委員長の甥の結婚式が行われた。新郎の祖母になる女性同盟長野県本部の李畢先顧問(83)と新婦の親せきにあたる総連東京都本部の李名裕副委員長(58)、朝青東京台東支部の李民花総務部長(27)も参加した。

 李畢先顧問が祖国で暮らす孫の結婚式に参加するのは二度目だ。「実に喜ばしいこと」と、終始喜びにあふれた表情だった。

 李民花総務部長は、幼いときから新婦となった従姉と文通をしており、実の姉のように慕ってきた彼女の結婚に対する喜びは格別だと言う。「祖国の親せきらと遠く離れているという感じはしない。肉親の情を大事にする心を代々継承していきたい」 新郎新婦は、「総連は厳しい環境の中で活動していると聞くが、このように訪ねてきてくれて本当にありがたく、うれしく思う。幸福な家庭を築いていきたい」と決意を語った。

[朝鮮新報 2009.6.5]