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李明博の訪米を評する 労働新聞評論員

 労働新聞6月25日付は「ホワイトハウスのローズガーデンでの主人と手先のおぞましい口づけ―李明博逆徒の米国訪問を評する」と題する評論員の記事を掲載した。記事の要旨は次のとおり。

 李明博が歴史的な北南共同宣言発表記念日である6月15日、主人を訪ねて遠く大洋を隔てた事大・売国の恥ずべき旅に出た。

 この日を機に、南朝鮮では北南関係を破局に追い込み、南朝鮮をファッショ独裁の地に変えた李明博に対する糾弾の声がいつにも増して高まったが、彼はそれらすべてに背を向けて主人の懐に抱かれた。

 南朝鮮では気力をくじかれて身を隠す穴を探していた李明博は、主人が自分を「歓待」してくれたことに感激至極であった。

 しかしそれは見ようによっては同情すべきことである。米国の侵略的な対朝鮮政策遂行と核騒動の先頭で躍り、同族にかみつく忠犬でなければそのような「歓待」を受けられないのは自明の理である。

大統領の戦争発言

 16日の首脳会談の内容を見ると、米国と南朝鮮の侵略的結託を強化し、われわれに反対する核謀略騒動にいっそう狂奔するための主人と手先のおぞましい口づけであるとしか言えない。

 李明博は南朝鮮・米国関係を「21世紀の戦略関係」に発展させるという「共同ビジョン」を発表して「同盟関係」の「再確認」、「共同の価値」と「信頼」に基づいた「包括的な戦略同盟」の構築などと騒ぎ立てた。

 これは、南朝鮮を米国に徹底的に隷属させてわれわれに対する侵略的結託を強化し、世界的範囲で侵略戦争策動にいっそう執着することを宣言したものである。

 李明博は先の朝鮮戦争の責任をわれわれに押し付けて「戦争脅威」「戦争の未練」などと騒ぎ、米国との「共助」で対応するとも言った。これは、米国を後ろ盾にしてわれわれと対決し、戦争も辞さないという悪巧みをさらけ出したものである。

核保有承認問題

 李明博はまた、「北の核保有を絶対に認められない」「北に屈服しない」「国際社会が一致した声を上げるべきである」などと強弁した。果ては、「制裁」をうんぬんして「誤った行動」に対しては「補償」がないと述べた。

 われわれは自身の核保有国の地位について誰かに認めてくれと言ったこともないし、認めてもらおうとも思わない。

 われわれが核抑止力を強化するのは、米国の核の脅威に対処してわれわれの尊厳と制度、民族の安全を守るための自主権と自衛権の行使である。

 われわれの核抑止力は誰が認めるか否かということとは全く関係なく、いかなる者もわれわれをむやみに侵せないようにすれば良いのである。

 われわれは誰かに認められて、米国が頭目のように振る舞う国際核クラブに入る考えは初めからない。

対朝鮮制裁

 今回、米国などは「金融制裁」をうんぬんし、金づるを絶てばわれわれが衛星の打ち上げも、核の開発もできないかのように騒ぎ立てている。

 しかし、われわれには核抑止力を強化するうえで必要なあらゆるものが整っている。無敵の軍隊と自国の制度を命懸けで守ろうとする強い精神力を備えた人民があり、いかなる最先端防衛手段も作り出す優秀な技術力も有している。ウラン鉱石だけでも世界最大の埋蔵地を有していることを知っているのか。

 「補償」問題を見ても、われわれはこれまで核凍結で「補償」よりも損害だけを被った。米国の軽水炉建設詐欺騒動さえなければ、こんにちのように電力で苦労をしなかっただろう。

 そのような甚大な損害に比べて核凍結の代価として提供された「補償」など、すずめの涙にもならない。そのようなくだらない「補償」は望みもしないし、初めから必要ない。

「拡大抑止力」

 李明博は米国とともに「拡大抑止力」を持ち出して首脳会談の共同文書に明文化した。

 「拡大抑止力」とは「核の傘」の概念をより具体化、公式化したもので、南朝鮮が核攻撃を受ける場合は米国本土に対する攻撃と見なし、米国本土が攻撃を受けたときと同一の水準で「報復攻撃」を加えるというものである。

 「拡大抑止力」問題はこれまでに両者の軍事当局者間で論議されたことはあったが、首脳会談の共同声明にそれを明記したのは今回が初めてである。

 「拡大抑止力」の公式宣布は、南朝鮮が米国の世界的な核戦争戦略遂行に積極的に加担し、南朝鮮と米国が核武力において一体化したことを意味する。

 「拡大抑止力」の明文化はわれわれの核抑止力保有の名分をさらにはっきりさせるだけであり、「有事」にわれわれの核報復が南朝鮮にまで降りかかる悲惨な事態を自ら招くことになるだけである。

 われわれが米国を相手に核対決戦を繰り広げているこんにち、「核の傘」と「拡大抑止力」は無用の長物であり、南朝鮮がその下で生き残れないというのは明らかである。

6者会談破たん

 李明博は今回、「北を除いた5者会談」を掲げて北に圧力を加えるべきであると唱えたが、認識すべきは、6者会談はすでに「覆水盆に返らず」であり、「核放棄」も向こう岸に渡ってから久しいということである。核協議を破たんさせた張本人らが「協議」「放棄」などと言うのは自己欺瞞にすぎない。

 李明博は「自由民主主義」と「市場経済の原則」に基づいた統一についても力説した。これも前回の訪米時に提唱した「自由民主主義体制による統一」論を繰り返したものである。

 内外の非難にもかかわらず今回またもそうした妄言を吐いたのは、反北対決政策で変わったものがないことを示している。

開城工業地区

 李明博は、開城工業地区実務接触の問題まで外部勢力との首脳会談のテーブルに置き、われわれの提案について「無理な要求」などと中傷した。しかも「北の無理な要求を受け入れられない」「要求を続ければどんな結論を下すか保証できない」と言ったことで、事実上実務接触を否定して開城工業地区を壊そうとする下心を現した。

 これは結局、6.15共同宣言を踏みにじり、北南関係を対決へと引き続き追い込むことにほかならない。

 李明博の事大売国、反北対決の正体は今回、いっそうあらわになった。

 李明博は、「対米外交の重要性はいくら強調してもし過ぎることはない」と言ったが、北南関係を廃虚に変えておいてそんなことを言えようか。

 ホワイトハウスのローズガーデンでの茶番は、その醜悪さと危険性において前例を見つけるのが困難である。

[朝鮮新報 2009.7.1]