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朝鮮経済 「効果ない制裁」 国産原料による産業構造築く

 【平壌発=金志永記者】人工衛星「光明星2号」が打ち上げられた4月以降、朝鮮は自らの目標に向かって前進している。米国をはじめとする敵対国は、制裁と圧力が朝鮮の態度に「変化」をもたらすと喧伝しているが、国内では敵対勢力との対決に終止符を打つまで「頑強な持久戦」を繰り広げるべきだという世論が醸成されている。

経済構造の転換

非鉄金属の生産を伸ばす平北精錬所(平安北道定州市) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 朝鮮で制裁や経済封鎖がもたらす悪影響を憂慮する声は聞かれない。経済部門の関係者や学者らは、敵対勢力が長期間にわたる制裁を通じて朝鮮を「干上がらせる」戦略をとるとしても、自国の経済復興戦略は予定通り進められていくと見ている。

 朝鮮は2012年に「強盛大国の大門を開く」という目標を内外に宣言している。一方で米国などの敵対国は、朝鮮には自力で経済発展をなし遂げる能力はなく、体制の維持も難しいという誤った見方を国際社会に広めてきた。

 人工衛星の打ち上げや第2次核実験を「挑発」と断定し、米国を対話の場に引きずり出すための「瀬戸際戦術」と結びつけるのも、朝鮮が対米関係の改善や他国からの支援に命運をかけているという観点から導き出された論理だといえる。制裁の持続、強化が朝鮮を変化させるという見方も同様だ。

 経済部門の関係者らは、金正日総書記が示した「2012年構想」は外資導入や経済支援など対外経済活動における条件の有利、不利だけを計算して立てた目標ではないと断言する。2012年までのタイムスケジュールは、「自立的民族経済の土台に依拠して策定された」というのが彼らの説明だ。

 21世紀に入り、全国の工場、企業所で技術革新事業が活発に行われ、農業部門の基盤も整備されるなど、自立経済の土台の復旧が急ピッチで進められた。06年以降は、国の経済全般が上昇軌道に乗ったことが各種の統計資料を通じて確認されている。

 注目される変化として、経済の自立性を高めるという政策を推し進めた結果、国内産の原料、燃料に基づいた産業構造が確立されつつある点を指摘できる。

 近年、経済の各部門では輸入に頼らずに生産活動を正常化するための技術革新が進められ、成果が現場に導入されている。コークスに頼らない「チュチェ鉄」生産システム、石炭ガス化技術による肥料生産システムなどが代表的事例だ。

関係者の自信

 内閣や工場、企業所の幹部も朝鮮経済の潜在力は他国の基準で推し量ることはできないと話す。

 米国の保守強硬派が主張する金融制裁については、貿易取引の一部に障害があっても「生産がストップする工場や企業所は一つもない」と、その「実効性」を否定している。

 また、ある経済学者は「たとえば、われわれが質の高い鉱物資源を持っているのに、世界がいつまでも米国の言いなりになって制裁に加わり続けることはない」と制裁の盲点を指摘する。朝鮮の唯一の外貨獲得手段が武器輸出であるかのように言うのは間違っているとも話す。

 関係者の自信はどこから来るのか。彼らが強調する自立経済とは、国内需要の充足を基本目的とする自己循環型の経済を意味する。輸出主導型で発展を遂げた他国とは経済の構造が異なる。貿易取引が少なくても、自国の技術と資源に基づいて生産が行われ、人びとの衣食住が保障されれば目的は達成だ。

 経済建設は、90年代に露呈した欠陥を克服しながら進められている。関係者らは将来の展望について一様に楽観的な見方を示す。朝米関係の改善があってもなくても、対外環境の変化に関係なく「2012年構想」を実現することが彼らの目標だ。

社会科学院経済研究所のリ・キソン研究員に聞く 電力、金属、食糧部門に力

[朝鮮新報 2009.8.7]