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平壌で初 ファーストフード店オープン ハンバーガー、ワッフルなど

メニューで独自色打ち出す

 【平壌発=金志永記者】朝鮮で初のファーストフード店が6月、平壌にオープンした。4.25文化会館(牡丹峰区域)近くの建物の2階で営業を始めた三台星清涼飲料店は開業以来、新しいものに敏感な市民の間で話題を集めている。

自国式にアレンジ

カウンターで注文を受ける女性店員

 窓際の席に座り、道行く人の波をながめながら、ハンバーガーを片手に携帯電話で友人を探す。この店では見慣れた光景だ。

 一見、メニューや内装などは外国のハンバーガーショップと似ている。平壌駐在の外国特派員らが発信した記事を基に、一部のメディアは朝鮮に「マクドナルド」のような西洋式食文化が流入したかのように伝えた。しかし、現地での実像はいささか異なる。

 三台星清涼飲料店が目指すものは朝鮮式ファーストフード店だ。

 コ・ジョンオク支配人(47)は出店の経緯について、「さまざまな世界の食文化に触れる過程で自分たちの料理も発展させていくというのが国の考え」と説明する。

 同店のパートナーは、西洋菓子ワッフルの販売店を運営するシンガポールの企業。この企業が設備を提供し、労働力と料理の原材料などは朝鮮側が負担する。

 開業に先だって、従業員たちはシンガポール企業側が派遣した担当者から調理法と接客に関する研修を受けた。しかし、料理の味はそのまま再現せず、品評会を重ねて朝鮮人の味覚に合うようにアレンジした。コ支配人は「外国のハンバーガーは脂肪分が多過ぎる。われわれは化学添加物をいっさい使わない」と自負する。

 「ファーストフードの現地化」のための努力は徹底している。店のメニューには「ハンバーガー」という単語自体が存在しない。パンにハンバーグを挟んだ料理という意味で、「陥遭 社壱奄人 薩」(牛の挽肉焼きとパン)と呼んでいる。

 またワッフルは、パン生地を平たく伸ばして焼いたものという意味で、「姥錘薩走像」(焼いたパンのチヂミ)だ。外国で生まれた料理も、朝鮮式のスタイルを整えてサービスするという姿勢が一貫している。

 「フィッシュバーガー」は高級魚のヒラメを100%使ったもの。また、脂肪分の多い料理を好まない人は肉を入れない「野菜バーガー」も注文することができる。同店にはハンバーガー、マッシュポテト、キムチなどを組み合わせたセットメニューもある。飲み物は国内産の炭酸飲料だ。金剛生ビールを選ぶこともできる。料理の食材も飲料類もすべて国産にこだわっている。

近く2号店も

ヒラメを100%使用した「フィッシュバーガー」

 利用者に斬新な印象を与えているのは店の内装などの外見よりも、短時間で簡単に食事がとれるサービス形式の方だ。ファーストフードを意味する「速成飲食」という言葉が新たに生まれた。

 現在、従業員は20代の女性を中心に人。全員が接客はもちろんのこと、厨房で調理も行う。

 コ支配人によると、価格は「人びとが気軽に食べられるレベル」に設定したという。ハンバーガーは190ウォン(1.2ユーロ)、金剛生ビールは76ウォン(0.4ユーロ)だ。営業時間は午前11時から午後9時まで。ワッフルを目当てに来店する若者もいるが、フライドチキンをつまみに生ビールを飲みながら雑談を楽しむ客も多い。もちろんキムチは欠かさない。他国のハンバーガーショップでは見られない光景だ。

 店のメニューは1カ月に一度更新される。今後、クロワッサン、ホットドッグなどが追加されるという。

 世界の趨勢をそのままなぞるのではなく、自国式に新しいものを作ろうとする姿勢がファーストフード店の運営にも表れている。近いうちに市内に2号店をオープンする計画も立てている。

[朝鮮新報 2009.8.20]