top_rogo.gif (16396 bytes)

北側と現代の5項目合意 状況打開の突破口になるか

 【平壌発=金志永記者】16日に行われた金正日総書記と現代グループ会長との会見は平壌からソウルに向けられたメッセージだ。北側のアジア太平洋平和委員会と南側の現代グループは▼毘盧峰観光を含めた金剛山観光の早期再開▼陸路通行と滞在に関する制限の解除▼開城観光の再開と開城工業地区事業の活性化▼白頭山観光の開始▼秋夕(旧盆)の北南離散家族再会などに合意、共同報道文の形で発表した。共同報道文は、双方が6.15、10.4両宣言にしたがって「北南関係を改善し、民族共同の繁栄のための協力事業を積極的に発展させていく意志を表明」したと明らかにした。

局面転換の兆し

開城工業地区に向かう南側の車両(今年3月) [写真=聯合ニュース]

 玄貞恩会長訪北の十日ほど前、ビル・クリントン元米大統領が平壌を訪れた。金正日総書記との会見では朝米間の懸案が論議され、対話の方法によって問題を解決していくことで見解の一致を見た。「制裁」と「自衛的措置」の応酬による緊張激化を止めるための糸口が見いだされたことで、局面転換の兆しが見え始めている。

 現在の状況は、南朝鮮の李明博政権にとって「民族自主」の路線に戻るまたとない機会を提供している。

 李政権は発足以来、北南の首脳がサインした6.15共同宣言と10.4宣言を否定し、同族との対決を選択してきた。北に対する敵対的な政策は対米追従、外部勢力依存の路線と表裏の関係にあった。

 もし李政権が現代グループ会長の平壌訪問を機に用意された局面転換の機会を適切に生かすことができなければ、北南関係のこう着状態は解消されないだろう。

 玄貞恩会長はクリントン元大統領が平壌を訪問した4日、金剛山で行われた夫・故鄭夢憲会長の6回忌の行事に参加。そこで北側の関係者に自身の訪問意思を伝えたという。

 数日後の労働新聞(8日付)に掲載された論評には北側の情勢観が表れていた。同紙は、今日の現実は「南朝鮮で同族対決政策を速やかに中止することを求めている」と主張し、南側の政策転換の必要性を二つ挙げた。

 一つは、北南関係を発展させ自主統一を実現するためであり、もう一つは、朝鮮半島の平和と安全を保障し民族の運命を自主的に開拓するためだ。

平和実現の方法

 北側の志向は朝鮮半島の平和と安全だ。南側の政策を評価する北側の基準は、それが米国の政策に反するかどうかではなく、6.15、10.4両宣言で確認された原則、すなわち「民族自主」の観点だ。南側の執権勢力と政治理念が相反するとしても、思想と制度を認め合い民族の立場から妥協点を探るなら北南関係を改善させることができるという立場だ。

 民族自主の観点から足並みを合わせていく時、北と南は国際政治の舞台でもその存在感を示し共通の利益を追求できる。

 6.15共同宣言が発表された2000年、当時の米クリントン政権が朝鮮半島の環境が変わったことを認め、朝鮮との間で関係改善を盛り込んだ共同コミュニケを採択した前例もある。

 李明博大統領は8.15記念行事で「通常兵器と兵力の削減」について語ったが、「わが民族同士」の理念に対する言及はなかった。米軍と南朝鮮軍の合同軍事演習は今夏も実施された。

 李政権が今後予想される動きに乗り遅れないためには、6.15と10.4の旗を掲げる以外に選択肢はない。旧態依然とした対米追従では「通米封南」の状況を自ら招くだけだろう。

 金大中、盧武鉉政権は北南首脳合意にしたがって民族の和解と平和・繁栄について語り、行動した。「失われた10年」をうんぬんしてきた李政権も前政権の歩みを心に刻むべきだろう。

野党、市民団体ら当局に注文 「履行へ積極的な取り組みを」

[朝鮮新報 2009.8.21]