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北メディア 北南関係改善呼びかけ 「カギは『わが民族同士』」

 【平壌発=金志永記者】朝鮮の国内メディアが北南関係の改善を呼びかける論調を展開している。労働新聞8月31日付は、「6.15統一時代の前進という課題が提起されている今、不信と対決の感情を大胆に捨てて和解と団結を積極的に進めるべきだ」と主張した。

8月の出来事

 こうしたメディアの論調は、8月の朝鮮半島情勢の流れと関係している。金正日総書記と南朝鮮・現代グループ会長との会見、金大中元大統領の死去に際した特使弔問団のソウル派遣などで、停滞状態にあった北南関係に新しい転換がもたらされた。

 これに先立つ8月4〜5日、米国のクリントン元大統領が平壌を訪問し、朝米は懸案問題を対話の方法で解決していくことで見解の一致を見た。

 最高指導者自ら前面に立った今回のこう着打開のプロセスを見ると、朝鮮が目指す緊張緩和が一過性の変化ではないことがわかる。

 注目すべきは、李明博政権の対決政策を非難してきた北側の積極的な「和解攻勢」が南側に政策転換の機会を提供したという点だ。昨年来、北は南が首脳合意の精神に立ち戻るよう求めてきた。6.15、10.4両宣言の履行で一致するなら、李政権とも共同歩調を取ることができるというのが北側の立場だ。

併行の論理

 北側の一連の攻勢は李政権の決断を促したものと見ることができよう。

 今後、核問題をテーマに朝鮮半島の安保問題が論議される場合、北南関係の進展状況は重要な変数になる。従来のように「北対米・南」の関係が続くなら進展は難しい。朝米、北南の関係改善が同時に実現してこそ、朝鮮半島の対立構造の清算が可能となる。

 現在、朝鮮のメディアは北南共同宣言の基本精神である「わが民族同士」の理念にしたがった問題解決を強調している。これは、北南間の民族和解と平和・繁栄の共同歩調を朝鮮半島の新たな秩序構築の推進力にするという発想から生まれたものだ。

 振り返ると、2000年には6.15共同宣言の発表という北南関係の変化を機に朝鮮半島情勢で劇的な転換が起こった。同年10月、朝米間で関係改善をうたった共同コミュニケが採択され、米国大統領の平壌訪問も計画された。

変化の機会

 李明博政権は岐路に立たされている。

 今回の機会を活用して首脳合意の履行で一致点を探ることができれば、北と南は今後の事態進展でイニシアチブを発揮することも可能だろう。

 南側の進路選択はどうなるのか。政権内部に対北政策をめぐって相反した意見が存在するという分析もある。一部には、北側の「和解攻勢」が朝米対話の雰囲気づくりのための「演技」だと判断する見解も存在する。統一部長官は核問題で態度の変化がないことを理由に、最近の北側の変化が「根本的ではない戦術的変化」だと述べた。北南関係を核問題に従属させる統一部長官の発言は、米国が核問題の論議を本格的に始める時まで、南側としては対北関係を急いで改善する必要がないという「行動留保論」にも聞こえる。

 「北対米・南」の構図を崩さないかぎり、李明博政権は常に受け身の姿勢を取らざるをえなくなるだろう。

[朝鮮新報 2009.9.11]