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有機農業発展の展望開く 新複合微生物肥料を開発

新たに開発した有機質発酵促進剤の生産工程

 朝鮮で経済効果の高い有機質発酵促進剤による複合微生物有機農業が導入され、有機農業の発展に期待が集まっている。

 この促進剤は平壌・統一通りにある「愛国複合微生物センター」が開発したもの。

 朝鮮で有機農業に対する試みは1990年代初めから行われてきた。とくに95年、朝鮮にEM技術(EM=Effective Micro-organisms、有用微生物群、農業分野で土壌改良用として開発した微生物資材の名称)を導入するため在日同胞の尽力によって同センターを建設。

 さらに、複合微生物技術研究所、複合微生物原種菌工場、複合微生物原菌工場などの施設も設立された。また、全国各地に百数十余りの複合微生物肥料工場が建設された。

 朝鮮はこれまで、EM液肥料の種菌は輸入に依存してきた。また有機質発酵菌の基本となる糖生産に使用するトウモロコシや麦など大量の穀物を必要としたため原価が高かった。

 朝鮮では複合微生物肥料の生産を国内で解決する方針を打ち出した。同センターの科学者や技術者たちは10余年間におよぶ研究の末、新しい複合微生物肥料の有機質発酵促進剤の開発に成功した。

 開発の中心となったリ・キョクモ室長(42)によると、有機質発酵促進剤は本来のEM技術の方法論に基づいて効能の向上と経済効果に焦点をあてて研究、完成させたものだという。

リ・キョクモ室長

 有機質発酵促進剤は異なる有機質をそれぞれの特性に従い発酵させる。以前とは異なり、生産過程における糖の使用量は少ない。

 グラムあたりの微生物数は従来のEM液肥料の約10倍。形状は固形だ。種菌も国産化されて、工場原価は以前の6分の1となった。

 有機質発酵促進剤は現在、黄海南道青丹郡、平壌市寺洞区域、楽浪区域、兄弟山区域の協同農場に導入され、一定の効果が出ているという。

 農場では有機質発酵促進剤に家禽排泄物、腐食堆肥、稲わらのようなさまざまな有機質を発酵させて複合微生物肥料を作り、田や畑にまいている。

 農作物栽培に利用した結果、穀物や野菜をはじめとする農作物の収穫率は、以前の108〜110%となった。

 有機質発酵促進剤は90年代に建設された複合微生物肥料生産施設に基づき、特別な追加設備を必要とせずに生産することが可能だという。

 現在、国内では各地の複合微生物肥料工場に対する原菌供給システムが確立されている。

 また、センターの研究者たちによる技術講習も行われている。【平壌支局】

[朝鮮新報 2009.9.16]