そこが知りたいQ&A−「150日戦闘」の意義は? |
経済全般が上昇軌道に 金属部門の増産が契機に 4月から朝鮮で繰り広げられた「150日戦闘」が9月16日に終了した。経済活性化を目的としたこのキャンペーンの意義、経済効果、今後の展望などについてQ&Aでみた。 Q 「150日戦闘」が実施された背景は。 A 「150日戦闘」は金正日総書記の発起によるものだ。
「強盛大国」建設を国家政策として推進する朝鮮は2008年の3紙(労働新聞、朝鮮人民軍、青年前衛)共同社説で、金日成主席生誕100周年にあたる12年までに経済と人民生活を高い水準に引き上げることによって「強盛大国の大門を開く」と宣言した。12年に照準を合わせて経済建設が推進されるなか、同年12月24日、総書記は千里馬製鋼連合企業所(平安南道千里馬郡)を現地指導し、「新たな革命的大高揚の烽火」を上げた。これは、50年代末〜60年代に社会主義工業化の土台を築いた「千里馬大高揚」時代の再現を呼びかけるものとして、一大ムーブメントとなった。 そのうえで09年を「重大な歴史的局面」「歴史の分水嶺」(3紙共同社説)と規定。人工衛星「光明星2号」の発射(4月5日)や最高人民会議第12期第1回会議の開催(同月9日)、金日成主席生誕97周年とメーデーに際して大規模な祝砲大会(同月14日、5月1日)も行われた。労働新聞5月4日付社説はこれらを「意義深い政治的出来事」だと指摘した。 朝鮮では70年代に「70日戦闘」「100日戦闘」、80年代に「200日戦闘」などを展開した。 Q 具体的な内容は。 A 期間は4月20日〜9月16日まで。労働新聞5月4日付の社説で言及されたのを皮切りにメディアでいっせいに報道されるようになった。「総動員」「総集中」が叫ばれる中、全国のあらゆる部門がそれぞれの目標を立てた。生産現場に関していうと、期間中に09年計画を前倒しで達成することを目標に掲げた単位が多いとされる。 Q 現場の様子は。 A 平壌326電線工場従業員は、この期間を「自らを乗り越える」過程だと表現。明確な成果をあげるために奮起しようとする様子が伺える。また、各地で定年退職した元従業員が「150日戦闘」開始と同時に、志願して現場に戻ってきたエピソードも多い。 生産現場では、進んで残業を行い日曜を返上するケースが続出し、社員食堂の質を高め、託児所を設けるなど、福利厚生を充実させた企業もある。 Q 成果とその意義は。 A 朝鮮労働党中央委員会は9月21日に発表した報道文で、「『150日戦闘』は勝利のうちに終結した」と指摘。「近年に見られなかった飛躍を遂げ、国の経済全般が確固たる上昇軌道に乗った」と評価した。 また、「『150日戦闘』での勝利」を通じて、敵対勢力の「いかなる制裁も朝鮮には通じないことを示した」と強調した。 一方、朝鮮中央通信は9月24日、具体的な数値や前年度との比較を加えて「150日戦闘」の成果に言及した。それによると、全国的に設定目標の112%を達成した。 同報道や9月17日付民主朝鮮紙が明らかにした成果を分野別にみると、昨年同期と比べて、工業生産1.2倍、石炭生産1.5倍、鉄道運輸部門100万トン超、建材工業部門のセメント生産1.4倍、畜産部門の食肉生産は1.5倍となっている。 さらに詳細をみると、千里馬製鋼連合企業所の生産高は9月中旬の時点で昨年比、鉄鋼5.7倍、圧延鋼材は4.4倍、「チュチェ鉄」(国産の原料を使い独自の製法で生産した鉄、またはその製造法)3.8倍となった。同企業所関係者は電力、石炭、鉄道運輸など関連部門が生産条件を整えたことを成果の要因としてあげている。 全体として、千里馬製鋼連合企業所をはじめとする金属工業部門の生産増加が「150日戦闘」期間の経済活性化につながったという。 Q 今後の展望は。 A 「150日戦闘」に引き続き「100日戦闘」が始まった。朝鮮労働党中央委員会は、「今年を祖国の歴史に特筆すべき変化の年として輝かせるための最後の突撃戦」だと強調している。 9月23日、全国各地で決起集会が行われた。12月末に完了する。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2009.9.30] |