亡き父に代わり

チョン・キョンウォンさん（中央）から写真にまつわる話を聞くチョン・ヨンソプさん（左）とキム・テミンさん

　京畿道平沢市に暮らすチョン･キョンウォンさん（75）は、１９５０年に義勇軍に入隊し北側へ渡った兄の息子チョン･ヨンソプさん（47）と姉の息子のキム･テミンさん（52）に会った。

　ヨンソプさんはキョンウォンさんに会う直前、「話だけで聞いてきたコモ（伯母）に会えることはうれしい」と口にしていた。

　「初めて会う気がしない」。対面した二人は熱く抱き合い握った手を長い間離さなかった。

　ヨンソプさんの父親は除隊後、体育関係に従事し８２年に他界した。生前、父親は南側の兄弟に会いたいと常に口にしていたという。

　一方、テミンさんの母親も南側の兄弟たちを思いながら９６年に他界した。

　ヨンソプさんが生前の父親と伯母の写真を広げてする話にキョンウォンさんはとめどなく涙を流した。

　平壌に暮らすヨンソプさんは現在、内閣事務局工業部金属課副課長として、テミンさんは国家品質監督局輸出入検査検疫処の処長として働いている。

　キョンウォンさんは「甥たちが国家の重要職責についていて誇らしい。南に帰って家族に自慢したい」と話した。

　キョンウォンさんら兄弟は８人。北に２人、南に６人と散り散りになった。この間に５人が他界し、キョンウォンさんを含む３人が存命中だ。

　「統一の日、みんな一緒に必ず会いたい」

　ヨンソプさんの言葉に３人はふたたび手をしっかりと握り合った。

［朝鮮新報 2009.10.7］