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平壌市10万世帯住宅建設 「2012年構想」の優先課題

3年間の総力戦

 【平壌発=文・金志永、写真・盧琴順記者】平壌市10万世帯住宅建設は2012年の完成を目標にしている。朝鮮の国力を示す3年間の総力戦だとされる同事業では現在、建設部門の力を最大に発揮するための対策が講じられている。

国力の誇示

今年万寿台通りに完成した住宅

 朝鮮は、金日成主席の生誕100周年を迎える2012年に「強盛大国の大門を開く」との目標を掲げた。平壌での10万世帯住宅建設はその重要な事業のひとつに定められている。

 建設を担当する中央連合指揮部のキム・グクナム参謀長 (49)は「総書記の発起で始まったプロジェクトだけに、相当な覚悟を決めている」と話す。

 80年代後半から90年代前半にかけ平壌には光復通り団地、統一通り団地のような住宅群が建設された。平壌で大規模な住宅建設が展開されるのはそれ以来となる。90年代後半に朝鮮は「苦難の行軍」と呼ばれた経済難を経験した。

 その後、疲弊した経済の土台を建て直して復興の足がかりを築いた。

 「世界が朝鮮の強盛大国建設の前途について疑問視するならば、それを目に見える形で実証してみせる」

 キム参謀長は、約3年で10万世帯の住宅を建設するということの難しさを十分承知している。さらに今回の建設には光復通り団地、統一通り団地の建設時より膨大な資金と資材が必要だ。キム参謀長は「80年代の経済水準をしのぐレベルで事業を繰り広げてこそ実現できる目標」だと説明する。

新たな速度戦

10万世帯住宅建設を呼びかけるポスター

 建設資材は各地の製鋼所やセメント工場などで生産される。

 朝鮮の工場や企業所などは近年、老朽化した生産ラインを自力で改修、改造し生産量を増加させるキャンペーンを繰り広げている。

 その一方で大同江タイル工場(平安南道千里馬郡)をはじめ、最新の設備を持つ建材生産工場も建設されている。

 平壌市内の工場や企業所でも建設資材増産のための体制を整えている。平壌ブロック工場では、住宅建設の先行工程となる下部構造網工事に使われる大型配水管の生産を急ピッチで進めている。

 チョン・シゴン支配人(48)によると、同工場での大型配水管の生産は統一通り団地建設時以来10数年ぶりのことになる。12年まで10万世帯の住宅建設を完了させるためには、今年末までに下部構造網の工事を完了しなければならない。

キム・グクナム中央連合指揮部参謀長

 このため、7月から同工場は24時間生産体制へと移行した。従業員たちは三交替で作業している。

 平川部材工場では住宅建設のスピードを保障するための方法のひとつとして、部材の軽量化を実現させた。部材が軽ければ持ち運びも簡単で、それだけ組み立てるスピードを早めることが可能だ。

 ハン・トンウォン支配人(57)によると、昨年から部材軽量化のための研究を進め今年、生産工程を一新した。「工場の技術者全員がさらに作業時間を短縮するための方法を引き続き研究している」と話す。

 10万世帯住宅建設に関与している人たちは、3年という期限を絶対に厳守しなければならない。それぞれが担当した課題の期限を繰り上げて遂行することを促し、「速度戦」を展開している。

朝鮮の気概

平壌ブロック工場の生産現場

 10万世帯住宅の建設にともない平壌市の電力需要が増すことは確実だ。

 今年、着工した熙川発電所(慈江道)の建設も平壌での住宅建設事業と関連がある。同発電所の能力は、過去20余年間に建てられた水力発電所の中で最大規模になるという。

 総書記は今年の3月と9月に同発電所建設現場を訪れた。そして、以前であれば完成までに10年かかるとされた大規模発電所の建設を12年まで完工させることについて強調した。

 10万世帯の住宅は販売物件ではなく、国が建設して人民に無償で提供するものだ。

 「3年間の総力戦を通じて、朝鮮の気概を示さなければならない」と関係者らは口をそろえる。

 キム参謀長は「強盛大国はただ生産量を増やし高い経済指標を達成するだけでは実現できない」と指摘する。10数年もの間、苦しい生活に耐えてきた人びとによりよい生活ができるようになったと実感させなければならないと話す。そのうえで住宅の保障は優先課題のひとつだ。

[朝鮮新報 2009.11.4]