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深まる朝鮮−イランの関係 対米自主路線に共通点

平和的核開発を支持

 朝鮮がイランに対する支持、連帯の立場を強めている。反米自主路線など共通点の多い両国だが、イラン・イスラム革命30周年(1日)を機に、朝鮮は核問題や対米関係に関するイランの立場を支持する姿勢をいっそう鮮明にしている。イラン側も朝鮮との関係を多方面で発展させていく意向を示している。

国際問題で認識共有

 

昨年11月12〜13日、朝鮮を訪問したイランのマヌーチェフル・モッタキ外相 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 朝鮮とイランは1973年4月、国交を樹立した。イラン革命30周年に際して、金永南・最高人民会議常任委員会委員長は11日、マフムード・アフマディネジャド大統領に祝電を送り、「日々発展を続ける両国間の素晴らしい親善協調関係が拡大、強化されるとの確信」を表明した。

 両国は核問題や対米関係などいくつかの国際問題に関して同じ認識を共有している。近年の活発な高位級の人的往来を通じて、これらの見解を公式に明らかにしている。

 2日、平壌市内で開かれた革命30周年記念集会で朝鮮側は、「平和的核活動に対するイラン政府の原則的な立場に全面的な支持と連帯を表明」(チョン・ヨンス労働相、朝鮮―イラン親善協会会長)した。一方のイラン側も、「両国は同じ立場で、国際舞台で相互支持してきた」(モロディヨン駐朝大使)とし、朝鮮政府との協力関係の発展に「特別な関心を向けている」と述べた。

 イスラム革命30周年という節目を迎えたイランは、対米関係における自身の一貫した自主的立場をあらためて強調している。

 アフマディネジャド大統領は10日、首都テヘランで開かれた記念式典で演説。オバマ米大統領がイランとの直接対話を模索する方針を打ち出したことに対し、米国の「根本的な政策転換」がなされれば対話の用意があると表明した。同大統領は「(米国の)変化は根本的でなければならない」と指摘、「イランは真の変化を歓迎する」と述べた。また、対話には「互いが尊重される公正な環境」が必要だと付け加えた。

 イラン革命後、イランと米国はテヘラン米大使館占拠事件などを経て1980年に断交。その後、米国はイランに対して強硬な外交姿勢を取り続けてきた。02年に朝鮮、イラクとともに同国を「悪の枢軸」と呼んだブッシュ前政権は経済制裁を強化し武力行使の可能性もちらつかせるなど、圧力を強めたが、イランは自主路線を貫いている。

 現在、イランの核問題は朝鮮半島核問題と並んで国際的に大きな注目を集めている。

 イラン政府は自国の核開発計画に関して、「平和利用の原子力発電のためであり、核兵器を開発する意思はない」という立場だ。大統領も機会あるごとに、「核施設は完全に民生用」であり、「すべての関連活動は完全に国際原子力機関(IAEA)の管理下に置かれており、両者は協力関係にある」と、核兵器開発を疑う欧米諸国の主張を一蹴している。弾道ミサイルや核兵器開発に関する朝鮮との協力疑惑についても全面的に否定している。

 朝鮮側はイランのこのような姿勢に対して、「平和的核開発は自主的権利であり、問題視する資格は誰にもない」(労働新聞1月16日付)と全面的に擁護する論陣を張っている。同時に、米国の対応を「内政干渉」「破廉恥な反イラン策動」だと激しく非難し、イランの強硬姿勢は「当然のこと」だと主張している。

衛星打ち上げを評価

 最近の論調としては、「平和的な宇宙利用の権利尊重」を訴えながらイラン初の国産人工衛星打ち上げに言及しているのが目立つ。

 イランは2日、国産ロケット「シャフィール2号」による人工衛星「オミド」の打ち上げに成功。05年、08年にそれぞれロシアと中国のロケットで衛星を打ち上げたが、今回はすべて自力で成功させた。

 労働新聞7日付の論評は、「自国の国力を示威することになるばかりか、宇宙開発とその利用において独占権はもはやこれ以上存在しないことを世界に示した」と、その意義を強調した。また、米国をはじめ西側諸国が弾道ミサイル技術の開発と関連づけてイランの衛星打ち上げに「憂慮」を示していることを非難した。同時に、「朝鮮も国際社会の一員として宇宙進出競争に参加する堂々たる権利がある」と、宇宙開発分野への進出に対する積極的な意志を示す。その後、米国などが騒いでいる「朝鮮の長距離ミサイル発射準備」説に対して、「わが国で何が打ち上がるのかはいずれわかるだろう」と踏み込んだ内容の記事も配信した。

経済関係拡大に言及

 政治、軍事的な関係だけがクローズアップされているが、両国は近年、経済分野での結びつきも強めつつある。とくにイラン側はさまざまな分野で朝鮮との協力関係発展に意欲を見せている。

 06年11月、崔泰福・最高人民会議議長がイランを訪問、アフマディネジャド大統領と会談(18日)し、両国関係の強化を確認した。会談で同大統領は、「両国はいくつかの国際問題に関して同じ認識を共有している」としたうえで、「経済関係を拡大するため両国の潜在能力を活用することが必要だ」と、経済分野での関係拡大を目指す意向を表明。崔議長も「(朝鮮は)イランとの関係促進を特に重視しており、この点では労を惜しまない」と語った(イラン国営テレビ)。

 07年5月の金永日外務次官の訪問時には、マヌーチェフル・モッタキ外相が「政治、経済、文化分野における朝鮮との関係拡大」を強調した(イラン国営通信)。また、両国外務省間の協力に関する了解覚書が調印され、外務次官級外交団による年定例の相互訪問実施や、さまざまな国際問題に関する協議と意見交換など、緊密な協力に向けて互いに努力していくことをうたった。

 07年9月、朴宜春外相との会談の席でもモッタキ外相は「経済、貿易分野で関係発展のための良好な土台が存在する」とし、「自動車生産、鉱業、住宅建設などで協力の実施が可能だ」と述べたと、現地紙の報道は伝えている。(李相英記者)

[朝鮮新報 2009.2.20]