top_rogo.gif (16396 bytes)

日朝国交正常化連絡会の集会 丁世鉉・元統一部長官が講演

東北ア平和へ 日本の政策転換求める

 日朝国交正常化連絡会(連絡会)主催の講演集会「朝鮮半島の新たな転換へ日本はどう向かい合うべきか」が2月26日、南朝鮮の丁世鉉・元統一部長官(民族和解協力汎国民協議会常任議長)を招いて東京都千代田区の在日本韓国YMCAで行われた(写真)。
 

 同集会は米国のオバマ新政権誕生による朝米関係の進展を見越して、東北アジアにおける日本の今後の針路を模索するために朝鮮半島問題専門家の意見を伺うという趣旨で企画された。

 「東北アジアの平和と日本の役割」というテーマで講演を行った丁元長官はまず、朝鮮半島核問題の発生原因や展開過程などの経緯を1980年代末から歴史的時間軸に沿って振り返った。そのうえで、「核問題は制裁や交渉などの技術的アプローチだけで解決できる問題ではない」と指摘し、「東北アジアの冷戦構造の解体など構造的で包括的なレベルのアプローチ」が必要との認識を示した。

 日本の対朝鮮政策については、ブッシュ政権の「善悪」を基準とした対朝鮮圧迫政策に追従し、拉致問題を掲げて「ネオコン式北朝鮮バッシング」に加わった対応を批判した。

 丁氏は「多国間協議の場である6者会談に2国間の拉致問題を持ち出すことは、問題解決に何の効果も期待できない」とし、「オバマ政権発足後も従来の拉致問題偏重の政策に固執するならば、核問題解決と東北アジア冷戦構造解体の妨害者という非難が内外から高まるのは避けられない」と述べた。また、「拉致問題の解決優先という原則に縛られるのではなく、柔軟なスタンスで新たな方法を見出す」必要性を指摘、朝鮮との国交正常化交渉を進める中で拉致問題の解決も図るべきだと主張した。

 過去清算の問題に関しても、「未来の協力関係確立のためには過去のわだかまりを解消する作業が必ず先行しなければならない」と指摘。「日本の指導層の中でも相当数が、『日本が周辺国に対してまちがいを犯したとは思わない』という立場を固守している事実は問題で、東アジアにおける被害諸国の人びとの認識とは天と地の差がある」と、この問題に対する日本側の認識に憂慮を示した。

 講演終了後は、同氏と和田春樹・同連絡会顧問(東京大学名誉教授)、石坂浩一・同連絡会共同代表兼事務局長(立教大学准教授)との討論が行われた。

 また集会では、民主党の今野東参議院議員と社会民主党の保坂展人衆議院議員(党副幹事長)が来ひんとしてあいさつを行った。

 一方、丁元長官は講演終了後、本紙記者をはじめとするメディアの取材に応じ、李明博政権に対して「6.15、10.4両宣言の忠実な履行意思を公式発表すべき」だと注文をつけた。そして、「相手側の体制を無条件に否定しては対話も何も成立しない。北側の本質と原則は無視したまま、技術的な面からのアプローチだけにこだわっている」と李政権の対北政策を辛らつに批判した。

 また、李政権は朝米関係の進展に引っ張られる形で自身の対北政策を見直さざるをえなくなると語り、北南関係は今年中にも回復に向けて動き出すとの見方を披露した。(李相英記者)

[朝鮮新報 2009.3.4]