top_rogo.gif (16396 bytes)

米・南合同軍事演習に反対 南で市民団体がデモ、海外団体は糾弾声明

「平和脅かす挑発行為」

 既報のように、米軍と南朝鮮軍によるキーリゾルブ、フォールイーグル合同軍事演習が9〜20日まで南朝鮮各地で行われた。規模や実施期間において過去最大規模といわれる今回の演習は、米国と南朝鮮による挑発行為によって朝鮮半島情勢の緊張が高まる中で強行された。演習期間中、南朝鮮では市民諸団体が抗議行動を大々的に展開した。北のメディアや海外同胞団体も、米国とそれに追従する李明博政権に対する非難の声を上げた。

「攻撃的性格明らかに」

14日、ソウル市内で開かれた「朝鮮半島の平和を脅かす対北侵略演習糾弾大会」 [写真=統一ニュース]

 南朝鮮メディアの報道によると、合同軍事演習が始まった9日、南朝鮮の各地で市民団体の抗議活動がいっせいに行われた。

 6.15共同宣言実践南側委員会(6.15南側委員会)慶尚南道本部と慶尚南道進歩連帯は、釜山の道庁で記者会見を開き、「対話と協力、関係正常化を約束した6.15共同宣言と6者会談合意の精神にそむくもの」だと厳しく非難した。

 6.15南側委員会蔚山本部と蔚山進歩連帯も同じく市庁前で抗議の記者会見を開いた。参加者らは「南北関係が最悪の状況にいたり、西海上での軍事的衝突の危険すらある時期に大規模な合同演習を行うのは火に油を注ぐようなもの」だと憂慮を示した。

 また、民主労働党と「平和と統一を開く人びと」、全国民主労働組合総連盟(民主労総)、韓国進歩連帯も同日、京畿道の米・南朝鮮連合司令部戦争指揮所前で、「朝鮮半島の平和を脅かし民族を滅ぼす戦争演習を中止せよ」と訴えた。

 このほかにも、全羅南道の光州、全羅北道の全州でも抗議集会が行われた。

 14日にはソウルの竜山米軍基地周辺で「朝鮮半島の平和を脅かす韓米連合対北侵略演習糾弾大会」が韓国進歩連帯、民主労総、民主労働党などの共催で開かれた。

 参加者らは「対決政策を廃棄せよ」「戦争演習を中断せよ」「朝鮮半島の平和を実現しよう」などのスローガンを叫んだ。

 集会では決議文が発表された。決議文は「6者会談合意の履行が遅れ、南北関係が急速に冷却する中で実施されている演習は情勢をいっそう緊張させている」と非難。同時に、「北の政権崩壊を狙った全面戦争計画を廃棄し演習を中断することが朝鮮半島における戦争の可能性を低くし、敵対的不信をなくすための最小限の措置」だと強調した。

 30余の団体が参加する全国女性連帯も12日、ソウルの米大使館近くで記者会見を開き、演習の中断を求めた。女性連帯は防御的性格を強調する南朝鮮軍当局の主張を一蹴、同演習に適用される「作戦計画5027」の目的には「北の政権除去」が明示されていると指摘した。

 同連帯のリ・ガンシル常任代表は、「演習の様相からして対北先制攻撃に目的があることは明らか。核の使用を目的とした演習が防御的な性格であるはずがない」と述べた。

 同連帯メンバーからは、「背後に銃剣を隠し持つ米国と一体誰が対話をしようというのか」「南北関係は今回の演習によっていっそう悪化した」との発言が相次いだ。

 市民、社会団体は16日以降も、実弾射撃訓練が行われた京畿道・抱川の南朝鮮駐屯米軍ロドリゲス射撃場や海兵隊の山岳訓練が行われた慶尚北道・浦項などで反対運動を繰り広げた。

朝鮮各紙は連日批判

 今回の合同軍事演習に対して朝鮮側は例年にも増して激しい非難を浴びせ、万一の場合の強硬な対応も示唆した。演習初日の9日には朝鮮人民軍最高司令部報道と総参謀部スポークスマン声明を発表、侵略行為に対する軍事的対応や人工衛星迎撃行為に対する報復攻撃などの措置について明らかにした。

 メディアも連日、演習非難の論陣を張った。

 労働新聞10日付は、「わが国に対する先制攻撃を狙った極めて危険な侵略戦争演習」だとあらためて指摘した。

 また、「演習の危険性に対して強く警告、糾弾しているのは朝鮮半島の安定と平和のためであって、決して戦争を恐れているからではない」と前置きした上で、朝鮮は「敵の『軍事技術的優位』を無力化する能力と近代的な軍事技術的手段を十分に持っている」とし、軍事的圧力への断固たる対応を示唆した。

 さらに米国に対して、「朝鮮半島の非核化と平和を望むのであれば、軍事的な緊張と対決を激化させる核戦争騒動をやめ、対朝鮮先制攻撃企図を放棄すべきだ」と強調した。

 同紙11日付も、演習は朝鮮に対する「事実上の宣戦布告」だと断じ、「外部勢力と結託した李明博を許さない」と警告した。

 民主朝鮮13日付は「他人の家の門前に押し掛けて刀を振り回しておいて、家主にそれが『防御』のためのものであるので、黙って見ていろ」というのは通じない論理だと主張した。

在中、在ロ同胞も

 一方、海外同胞団体も演習非難の声明を相次いで発表した。

 在中朝鮮人総連合会のスポークスマンは10日、今回の演習は「朝鮮を圧殺しようとする危険な軍事的挑発」だとする談話を発表、朝鮮人民軍最高司令部報道は正当な自衛措置だと強調した。

 在中朝鮮経済人連合会と青年連合会も7日と6日、それぞれ声明を発表、「李明博政権は朝鮮半島情勢を最悪の状況に追い込んでいる」「演習は反平和的行為」などと非難した。

 ほかにもロシア高麗人統一連合会などの団体が糾弾声明を出した。

 また、英国やドイツ、米国、チェコ、オーストリアなどの親善団体、労働組合も抗議声明や談話を発表し、朝鮮側に対する連帯の意を表した。(李相英記者)

[朝鮮新報 2009.3.19]