top_rogo.gif (16396 bytes)

「日朝友好なにわの翼」 現地で交流 「隣人の真の姿伝えよう」

 【平壌発=文・呉陽希、写真・文光善記者】「また訪朝したい」。4月30日〜5月5日、朝鮮を訪問した「日朝友好なにわの翼」代表団(7人、団長=日朝国交正常化早期実現を求める市民連帯・大阪の有元幹明共同代表)は口をそろえる。市民連帯・大阪や、西大阪朝鮮初級学校を支える会「アプロハムケ」など、大阪で運動を繰り広げている団体のメンバーで構成されている「日朝友好なにわの翼」代表団は3年前から毎年、訪朝を実現している。

「友好意思明らかに」

平壌市長慶小学校を参観する「なにわの翼」代表団メンバー

 5月の大型連休を利用した今回の訪朝。

 5泊6日の訪問期間中、一行は平壌市内の各所をはじめ開城など地方都市にも足を向けた。

 有元団長は、「訪朝の目的は友好親善。日本政府が朝鮮に対決姿勢を示すなかでも、われわれは市民の友好意思を明らかにしたいという気持ちを持ってこの時期に来た」と話す。

 代表団7人中、4人が初めての訪朝だ。

 「滞在期間を延長したい」と日本への帰国を惜しむ小谷博文さん(38、港地区平和人権連帯会議事務局長)もそのうちの一人。メーデーの日、大城山で行われていた朝鮮の労働者たちの運動会に「飛び入り」で参加した。「彼らは国家建設が第一だと、現時点で自分たちがすべきことをしっかりと把握している。集団の中で自己を見出すこと、チームで動くことに長けている」と話す。

 一行は同日の夜に開催されたメーデー記念の祝砲夜会にも参加した。

 垣沼陽輔さん(56、全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部書記長)は、現在、日本では派遣切りなど多くの人が仕事を失い、その日暮らしを余儀なくされ、寒空に放り出されている状況について述べながら、「あんなに盛大な花火が労働者のために上げられたことに感動した」と話す。「朝鮮労働者の目の輝きが素晴らしい。たとえ日本が経済的に先進国だとしても、朝鮮の人びとの精神の豊かさにはまったく及ばない。心が洗われていくようだ」。

「両国市民の先達に」

 一行は訪問期間中、自身の希望によって日本による強制連行の被害者との面会を果たしたことで、日朝間に横たわる根本的な問題を見直し、その溝を解決するための決意を新たにしていた。

 「被害者たちを前に申し訳なさで涙がこぼれそうになった」と室徹さん(47、港地区平和人権連帯会議副議長)は面会後に語った。「日本が誠実に謝罪をしなければ、次の段階には進めない。朝鮮に対する過去清算をせず自らの要求ばかり押しつける日本政府の政策は間違っている」と指摘する。

 一方、代表団の中からは米国、日本、南朝鮮などの脅威に対する自衛的措置として朝鮮が国防に力を注ぐのは、「不可避であり、妥当な国策」だと指摘する声も上がった。

 有元団長は、1910年の「韓日併合条約」締結から100年を迎える来年に、日朝国交正常化の突破口を開きたいと意気込む。そのために今後、関係改善の世論の輪を広げていくための活動を全国的に繰り広げていきたいと語る。

 「民間レベルの日朝運動は今までつらい場面に何度も直面したが、それでもわれわれの信念は揺らぐことはなかった。隣人の真の姿を伝えることで新たな時代を作っていけるという確信を持っている」

 同代表団の「なにわの翼」という名称には、「今は日朝間の国交のない道を飛んでいくしかないが、気持ちを飛ばし続けることで道が開ける」(有元団長)という思いがこめられている。

 「日朝関係が冷え切っている中でも、私たちは一歩先を歩いている。国交正常化したとき、われわれは両国市民の先達になるだろう」

 有元団長は、「なにわの翼」代表団の訪朝をどんなことがあっても毎年続けていく強い意思を示した。

[朝鮮新報 2009.5.15]