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李明博政権に対する怒り 民主主義後退の危機意識

6.10集会が開催されるまで

 既報のようにさる10日、李明博政権の強圧統治の中断と国政基調の抜本的な転換などを求める6.10集会がソウルなど14カ所で開かれた。南朝鮮全土に響き渡った「独裁打倒」「民主主義回復」の叫び声は、積もりに積もった南朝鮮現政権に対する不満の噴出だった。

追悼気運の中で

3日のソウル大学教授らを皮切りに多数の団体が時局宣言を発表した(写真は政党、宗教、市民社会団体代表、ネティズン青年ら、9日) [写真=統一ニュース]

東国大学教授、学生ら(9日) [写真=統一ニュース]

元老ら(7日) [写真=統一ニュース]

 今回の事態は、5月末に死去した盧武鉉前大統領に対する追悼機運が高まる中で、去年のキャンドルデモにも劣らない事態へと発展した。しかし「弔問政局」が何らの根拠なしに反政府闘争に急変したのではない。これは、1年半もの間、人民の声に耳を傾けようとしなかった李明博政権の悪政の必然的な帰結だ。

 李大統領は権力の座につくや、過去の独裁体制を復活させ、その結果あらゆる惨事が立て続けに起きた。

 昨年5月、人民の生命を脅かす米国産牛肉の輸入を決めた李明博政権に反対、抗議した何の罪のない人びとが連行されていった。

 今年の初めには、住居を守ろうと立てこもったソウル市竜山の住民が警察の過度の鎮圧で焼死した。

 今年5月には、10.4宣言採択の当事者である前大統領が李政権の政治的復讐と迫害の中で、自殺する悲劇がもたらされた。とくにこの事件は南朝鮮社会に大きな衝撃を与えた。

 李明博政権は、政治的他殺として責任を問う南朝鮮人民に対し謝罪、反省するどころか、前大統領を追悼する人びとが集まる焼香所を封鎖、破壊した。

 権力を乱用する現政権を見ながら南の人びとの中では、「前大統領までも死に追いやる李政権下で誰が生き残れるかわからない」という認識が広がっていった。過去回帰へとひた走る現政権に対する不信はさらに増大した。抑えきれない怒りとともに、これ以上民主主義を後退させてはならないという危機意識が前例のない「時局宣言政局」をもたらした。

相次ぐ時局宣言発表

釜山青年団体(9日) [写真=統一ニュース]

 今回の「時局宣言政局」の特徴は、進歩的市民社会団体ではなく知識人、しかも最近保守化していると指摘されるソウル大学の教授陣から始まったことにある。

 3日、ソウル大学の教授124人は、過去数十年間のたたかいを通じて成し遂げた民主主義が退歩している現状を憂慮するとしながら、李政権に国政運営の転換などを求める時局宣言文を発表した。以来、大学教授らによる時局宣言は南朝鮮全土へと拡散。6月人民抗争22周年を迎えた10日には署名者が4000人に達したという。

 時局宣言発表の動きは、その弟子たちである大学生、青少年のみならず宗教界、文化界にも拡散した。

 このような流れに乗って、6.10集会が南朝鮮全土で行われた。

 しかし李政権は、ソウル広場での集会の開催を許可せず、大会参加者数十人を連行した。李政権が人民の要求を無視して弾圧を強化すればするほど人民の反発はさらに増していくだろう。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2009.6.17]