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李政権の「放送掌握」に南朝鮮市民ら激しい反発

「メディア法は『言論悪法』」 保守紙・大手企業への門戸開放に強い懸念

 7月22日、南朝鮮で「メディア関連法」改正案が国会を通過した。「政府の放送掌握」「言論悪法」などと非難を浴びている。これを前後した時期には米国産輸入牛肉に反対するキャンドルデモの火付け役となった報道番組の関係者が起訴され、全国言論労働組合委員長が逮捕された。李明博政権の「言論統制」に、南朝鮮市民らは強く反発している。

立法化の動き再燃

「メディア関連法」の無効を訴える南朝鮮市民ら [写真=統一ニュース]

 「メディア関連法」とは、ハンナラ党が2008年12月に提出した新聞社などが放送事業を行うことを認可するなどを骨子とする「新聞法」「放送法」「インターネットマルチメディア(IPTV)事業法」の3法。当初、「新聞法」「言論紛争仲裁法」「放送法」「IPTV法」「電波法」「地上波テレビジョン放送のデジタル転換特別法」「情報通信網法の利用促進および情報保護法」など7つが対象となっていた。

改正法の主な内容は、▼日刊新聞とニュース通信の兼営禁止を廃止し▼新聞社と大手企業による放送局の持株保有を10%まで認め▼新聞社、大手企業による「総合編成チャンネル(あらゆるジャンルの番組編成)」と「報道専門チャンネル(全放送時間の8割以上をニュースで編成)」の持株保有をそれぞれ30、49%まで認めるなどだ。

 南朝鮮では全斗煥政権時代の1980年、「放送の公営化」を名目に新聞社、一般企業の放送事業への参入が禁止された。民放はKBSとMBCの2局に統合された。その後、91年にSBSが唯一の民放として開局した。新聞・放送の兼営禁止措置は、制定以降今日まで続いてきた。

 ハンナラ党が「メディア関連法」を発議したのは今回が初めてではない。同党の「言論発展特別委員会」は04年11月、「新聞法」や、「言論紛争仲裁法」などに関する法案を国会に提出したが廃案となった。しかし、李明博政権の発足後、ハンナラ党が国会で多数の議席を確保したことなどによって立法化の動きが再燃した。

放送わい曲の危険性

 「メディア関連法」改正が南朝鮮国内で問題となっている背景について、放送事業の影響力の大きさが指摘されている。

 「韓国言論財団」が発表した「2008言論受容者意識調査」によると、影響力のあるマスメディア媒体は、KBS(31.6%、放送)、MBC(21.8%、放送)、 ネイバー(17.3%、インターネット)、ダウム(4.1%、インターネット)、 朝鮮日報(4.0%、新聞) の順で、放送が新聞を圧倒的に上回っている。

 また、特定の事項を新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなどの5媒体が当時に報道した場合の信頼度も、テレビ(60.7%)がインターネット(20%)や新聞(16%)を圧倒している。

 民主党をはじめとする野党、そして当事者の放送局、全国言論労働組合などは改正案を「言論悪法」だと厳しく非難し、「政府が放送を掌握する法律」だと強く反発している。ハンナラ党は法改正が雇用・景気回復策につながると主張する一方、野党は財閥や政治権力によって放送がわい曲される危険性を指摘している。

 南朝鮮のマスメディアは、朝鮮日報、中央日報、東亜日報の三大紙が政権寄りで、放送局はいずれも政権に批判的だとの見方が一般的だ。

 南朝鮮検察当局は6月18日、昨年5〜6月の米国産牛肉輸入に反対する市民たちのキャンドルデモの火付け役となったMBCの報道番組「PD手帳」(4月29日放送分)に対して、番組の内容にねつ造、わい曲があったとして同番組制作スタッフを名誉毀損、業務妨害容疑で起訴した。また、7月には「メディア関連法」改正に反対してストライキを主導したなどの容疑で全国言論労働組合委員長を逮捕した。

 こうした一連の事件は、当局による言論に対する締めつけとして受け止められており、それに続く「メディア関連法」改正に社会的な非難が集中しているのだ。

与野対立深まる

 「メディア関連法」は11月1日から施行される予定だが、これをめぐる対立は与野党間で今後も強まることが予想される。 「メディア関連法」の採択当日、南朝鮮国会は与野党間の乱闘場となった。

 野党は7月23日、法案採決の際、与党議員が過半数に届かなかったにも関わらず賛成多数で成立させたため、同法の効力停止を求める仮処分を憲法裁判所に申し立てた。その初の公開弁論が10日に行われ、29日に第2回目が開かれる予定。最終判決は10月末頃になる見通しだ。

 市民団体の抗議運動も盛んだ。民主党などの野党と共に500あまりの市民団体は7月25日から「メディア関連法」の不当性を主張するキャンペーンを展開している。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2009.9.24]