6.15、10.4宣言固守・実践海外同胞大会 海外代表の声 時代の変化実感、団結深まった |
転換期の新たな運動構築を 既報のように16日、東京都内で「6.15共同宣言、10.4宣言固守・実践海外同胞大会」が行われた。米国、欧州をはじめ世界各地から日本を訪れた海外同胞代表らは滞在期間、総連中央会館や朝鮮大学校を訪問するなどさまざまな活動を行った。海外同胞代表の目に在日同胞はどのように映ったのか。朝鮮半島情勢の展望、そして海外同胞の祖国統一運動への取り組みはどうあるべきか。海外代表らの声をまとめた。
■ ヤン・ウンシク(6.15米国地域委員会常任委員長)
米国の覇権は東アジアで危機に直面している。現在、朝鮮半島情勢をめぐって起こっている新たな動きを見る時、朝米関係正常化、平和協定締結などは遠い未来のことではない。そして北の経済強国実現の日も遠くないだろう。時代は確実に変わっている。米国内でも、政府当局者が在米同胞や統一運動家の発言に以前よりも関心を払っており、両者の接触の機会も増えている。 問題は李明博政権だ。6.15、10.4宣言に背を向け、自らを袋小路に追い込んでいる。 もう一つの問題は日本だ。日本政府の在日同胞弾圧には怒りがこみ上げてくる。植民地支配など過去の罪悪に対する反省もないまま、拉致問題を前面に押し出して朝・日関係を悪化させている。 植民地支配と分断という20世紀の民族史の背後と日本がいた。分断状態が大国の干渉を招くことは歴史が証明している。一日も早く統一をなし遂げ、力強い自主国家を打ち立てるべきだ。 海外統一運動にとって今が転換期だ。われわれが生きてきた時代とは別の時代を生きる新たな人材を育てなければならない。過去の踏襲だけではない、時代にマッチした新しい運動を起こす人びとが登場してほしい。
■ クォン・チョンシク(独立国家共同体地域委員会委員長)
13年ぶりに日本を訪問したが、日本当局の在日同胞弾圧が当時と同じく続いていることを目の当たりにして残念な気持ちだ。一方で、当局の弾圧に団結した力で立ち向かっている総連の変わりない姿を見て勇気づけられた。 ロシアの極東地域に住むわれわれと在日同胞は、日本の植民地支配の圧制を受けながら生きてきたという点で共通の経験を持っている。われわれも言葉を奪われ名前を奪われた。そのような在日同胞が現在にいたるまで、民族性を守り堂々と暮らしている。われわれにもできないはずはない。 海外同胞の模範として、総連の活動が今後も発展していくよう願っている。 ■ リ・フィセ(欧州地域委員会常任代表) 李明博政権は発足直後から6.15、10.4両宣言を否定した。前職大統領の合意を後任者は無条件尊重すべきで、これを無視したのは李政権最大の過ちだ。一方で、近ごろ北南関係で多くの問題が解決され始めている。このような時期に海外同胞代表が一堂に会したということは重大な意義を持つ。 今大会を通じて海外の統一運動諸団体は団結を深めた。36年ぶりに日本を訪れたが、当時は朝鮮大学校も総連中央も訪問できなかった。今回、海外の代表らがともに統一問題を議論し、総連の施設も訪れることができたのは、「6.15時代」でなければ不可能だった。 海外同胞は「わが民族同士」という言葉の意義をあらためて強調することが必要だ。北、南、海外のすべての同胞が両宣言の精神を否定せずに実践すること。これ以外に統一の近道はない。 欧州地域はこれまで海外や南朝鮮の統一運動勢力と北とをつなぐパイプの役割を果たすことで、民主化運動や祖国統一運動で重要な位置を占めてきた。今後も欧州地域は大きな役割を果たしていくだろう。 李政権は民族問題で自身の過ちを認め、北南関係改善と統一問題に積極的に取り組む方向に踏み出すべきだ。北南関係が好転すれば、海外での統一運動も活気を取り戻すだろう。現在、欧州などにおける海外統一運動は困難に直面している。経済的な要因もあるが、次世代が育っていないことが大きな理由だ。今後の課題としては、運動の未来を担う若い世代を育てること、そして諸団体と個人が団結することだ。団結に勝る力はない。 ■ チョン・ハクピル(カナダ地域委員会委員長) 今回の海外同胞大会に参加してうれしかったことは、在日の若い人びとが数多く会場を訪れたことだ。ひな壇に座って会場を見下ろすと、そこには真剣な眼差しを舞台に向ける青年、学生の姿が多くあった。とても気分がよかった。代を継いで統一運動に取り組む在日同胞がうらやましい。 総連が海外同胞運動をリードしてくれていることに感謝している。総連から学ぶことは多い。 カナダ同胞社会は日本に比べて運動の歴史が浅い。南朝鮮で反共思想に染まった人びとが数多く渡ってきたこともあって、統一の「統」の字を言っただけで「アカ」扱いされることもある。しかし今回、「統一旗連署運動」を通じて活動を広げることができた。また、同胞のみならずカナダ人社会にも支持層を増やせたことは大きな成果だ。 ■ ソン・ギレ(米国地域委員会共同委員長) 金正日総書記は、北が2012年に強盛大国の扉を開くと宣言した。それは十分可能だと思う。では、われわれ海外同胞は祖国統一と北の強盛大国建設のために何をすべきか。 最近、米国のある団体が、朝鮮半島が統一すれば10年以内に世界の6大強国になれると予想した。ゴールドマン・サックスも、統一朝鮮は世界の5本の指に入る国になるとの見方を示している。 コンピュータサイエンス、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーなどの先端技術が世界を席巻している。国の発展のためには科学技術が不可欠だ。総書記も科学技術重視思想を打ち出している。 そのためには教育の充実が必要だ。現在まで在米同胞は1万5千冊の書籍を北側に寄付した。海外同胞による協力・支援事業について、過去にいろいろな話が出てきたが、本格的に実行され成果を収めたのはわずかだ。 今こそ、言葉ではなく実践に移す時だろう。優先順位を決め、もっとも生産性の高いものから着手すべきだ。内外の同胞が力を合わせて6.15、10.4宣言を履行するなら、統一朝鮮が世界の強国の仲間入りすることも可能だ。 ■ リム・ミンシク(汎民連事務総長) 異国の地で民族教育を行い、言葉と文化を教え、次の世代を育て民族性を継承していることは本当に素晴らしい。朝鮮大学校を訪問して、それをあらためて強く感じた。在日同胞の民族教育は、彼らのみならず、すべての海外同胞にとっての宝だ。海外同胞の一人として大きな誇りを感じる。 ■ キム・ヒョンファン(米国西部地域委員会運営委員) 李明博政権発足後、統一運動陣営にとって憂鬱な時期が続いているが、今回の大会で同胞たちの気持ちが一つになった。6.15共同宣言発表後の9年間は決して「失われた時間」ではないということを再確認できた。 今回の大会を控えて、米国でも「統一旗連署運動」が盛り上がりを見せた。講演会をはじめさまざまな行事の場で運動参加を呼びかけた結果、多くの同胞の賛同を得ることができた。とくに、若い世代が積極的な反応を見せ、自発的に運動にコミットしたことは大変意味のあることだ。6.15共同宣言以降の民族和解と協力の流れは、もはや引き戻せない大きな潮流になっていると感じた。 [朝鮮新報 2009.10.23] |