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より多くの人と共演したい

国立交響楽団首席指揮者 金炳華さん

 老いてますますさかん、とはこの人のことである。

 耳順をとっくに過ぎた今も現役で指揮台に立つ。舞台にトントンと跳ぶように駆け昇る足取りは軽く、腕を振る仕草にもまだまだ力強さが息吹いている。

 ひとたびタクトを握ると、演奏者たちの目が緊張の色に染まり、五線譜から飛び出したお玉じゃくしたちが楽しそうにホールを跳ね回る。あらゆる楽器が織りなす音色をまるで一つの生き物のように束ねる姿は、少しも衰えを感じさせない。

 現在72歳。神戸朝鮮人中高級学校(当時)の第1期卒業生だ。

 1960年、第25次帰国船で祖国の地を踏んだ。69年から国立交響楽団に所属。現在は首席指揮者の重責を務める。86年8月に人民芸術家称号を授与された。

 国立交響楽団は国内最高峰の芸術団体だ。民族楽器を主体としながら洋楽器を組み合わせるなどの手法を用い、これまでに交響曲「ピパダ」、管弦楽曲「青山里の野に豊作が来た」などの名曲を創作。今年に入ってからはピアノ協奏曲「繁栄あれ祖国よ」、管弦楽「牡丹峰」などを世に送り出した。

 昨年2月26日、東平壌大劇場でニューヨーク・フィルハーモニックの平壌初公演が行われた。「ニューヨーク・フィルが朝鮮を訪問したことはとても喜ばしいこと」としながら、「今後、より多くの指揮者、演奏家たちと共演していくことが必要で、またそうなっていくと考えている」と今後を展望する。

 これからも先軍時代を奏でる作品の創作活動を活発に行っていきたいと抱負を語り、指揮台へと軽やかに舞い戻っていった。

 一部報道によると、今年、朝鮮国内の楽団によるニューヨークでの初公演計画が米国の民間団体によって進められているという。(昌)

[朝鮮新報 2009.1.5]