top_rogo.gif (16396 bytes)

涙ぽろぽろ −鄭和欽−

 故郷恋しけれど
 届かぬ願い
 忘れられず 忘れきれず
 涙がぽろぽろ

 わが故郷の地図の上
 唇をあてれば
 瞼のふちにゆらめく
 蒼き 蒼き空

 過ぎ去りしわが歳月
 虚しく顧みれば
 やせ細った枝先に
 むせぶ心よ

 そっと眼を閉じれば
 涙がぽろぽろ
 滲んだ地図の上に
 夕日が沈む

(1983年)

鄭和欽詩集「念願」(文芸同発行、1985年)

 鄭和欽

 詩人。1923年慶尚南道迎日郡で出生、37年渡日。44年「治安維持法」違反により監獄生活。50年中央大学経済学部卒業後、民族学級、朝鮮大学校などで教べんをとる。朝鮮作家同盟に所属、文芸同文学部詩分科委員などを歴任。(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2009.2.9]