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鮮血の薔薇の上に揺らめくもの −チョ・ジョンナム−

 「デモ」も終わった
 登校した日の朝
 友達は皆、打ち萎れていた。
 始業ベルが鳴っても
 友達は半分も出て来なかった。
 過ぎた事は誰一人語らず
 ある友人は 自分はあの日
 腹を壊し寝込んでいたと言った。
 また他の子は 田舎にいたと弁明する。
 先生は 顔の皺ひとつ動かさず
 黒板に字を書いてばかりで、
 僕は 手を挙げるたび
 左から右へぐるりと見渡すと
 所どころぽっかりと空いた 机と椅子
 他の友達は 遠い−空を眺めていた
 窓のそばに座った僕は
 庭園の葉っぱと その葉の上に舞い踊る
 風を見ながら考えた。
 僕のすぐ隣の席の
 大きな目をした姉さんがいた友達を。
 そして
 あの鮮血の薔薇の上に揺らめくものはきっと
 「自由」なのだと。

 (1960年7月「学生革命詩集」)

 (「教科書の外の教科書・民族文学」〈92年・図書出版プルンナム〉)

 チョ・ジョンナム

 1942年、慶尚南道晋州市に生まれる。晋州師範学校卒業。「文芸精神」同人。この詩を書いた4.19人民蜂起当時、同校3年に在学中であった。

(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2009.4.27]