〈徐千夏先生の保健だより-5月-〉 摂食障害−思春期の危険なダイエット |
ダイエット(diet)は本来、健康を取り戻す治療食という意味でした。しかしいつの間にかやせるための食事をダイエットと呼ぶようになり、間違った食事によっていろいろな弊害が起こるようになりました。マスコミも低カロリー食を賞賛する風潮があります。 しかし、体だけでなく脳の成長期である10代に行き過ぎた食事制限をすることは多くの弊害を引き起こします。 ダイエットと無月経 最も明らかな弊害は月経異常です。思春期は、子どもから大人の女性へと変っていく時期で、ホルモンの状態が不安定なだけでなく、精神的にも不安定になりがちです。 異性や友だちからなにげなく身体のことを指摘されたりするだけでもナイーブになる時期です。 スリムな身体にあこがれて、太りすぎているのではないかと悩んだり、異性から「太っている」と言われたことなどが原因で、無理なダイエットをして、急に体重が減り、それまで順調にあった月経が突然止まってしまったという中学生や高校生が増えてきています。 無理なダイエットが、月経が止まる原因になるという知識を持たないのは問題です。ダイエットをして栄養が不足すると、まず体内で栄養配給のための優先順位をつけて分配するように調節されます。そうすると栄養素は大事な脳、心臓、肝臓、腎臓などに優先して回されます。そのため身体からみると優先順位の低いこと、つまり子どもを作るのに必要な排卵や月経が止まってしまうと考えられています。このようなケースは、なるべく早く治療をしないと、子宮や卵巣が縮んでしまって、将来妊娠しにくくなることもあります。安易に続けたダイエットが、大変な後遺症を残すことも少なくありません。3カ月以上月経がなくなった場合には、早めに産婦人科を受診しましょう。その時の無理なダイエットが取り返しのつかない状態になることをきちんと知識として持つべきでしょう。 カルシウムについて 栄養素の種類は100以上あり、毎日、多種類の食品を摂取することでどうにか必要量が補充されているものがありますから、長期間の偏食が体に与える害は様々です。 中でも骨粗しょう症が挙げられます。年齢を重ねお母さんくらいの時期になると骨粗しょう症という女性に多くみられる病気があります。強い骨を作るためには、思春期にきちんと、カルシウムを摂取しておかなければなりません。この時期のカルシウム摂取量が、その後の骨の強さを決定付けてしまうといっても過言ではありません。意識してカルシウムを摂取するよう心がけましょう! 脳や心への影響 飢餓状態が続くと、気分が不安定になったり、抑うつ、不安、過敏性が増し、不眠になるなど、情緒や社会性にも変化を及ぼします。 時間や決まりを守らないと気がすまない強迫症が増すとともに、集中力や判断力などの脳機能も低下するといわれています。 不必要なダイエットにのめり込んでいる生徒へ
女性の思春期・成長期はホルモンの分泌により体に丸みを帯びます。自然に脂肪が付きやすい時期でもありますから、あまり気にしないように心がけ無理なダイエットは控えたほうが良いでしょう。 ポ イ ン ト 成長期に健康的で安心な体質改善法 @なにより十分な運動と睡眠を心がける(ジョギング、縄跳び、ウォーキング) A3度の食事をきちんと。早食いは厳禁(当然夜食など遅時間の食事も厳禁) B炭水化物(ご飯・パン)、脂質(油物)の量を控える Cカルシウムを多く含む食品をとる(牛乳・乳製品、大豆製品、骨ごと食べる小魚などを積極的に) D緑黄色野菜や海藻類を食べる Eファーストフード、スナック菓子・ケーキ、清涼飲料水のとりすぎに気をつけましょう [朝鮮新報 2009.4.28] |