〈こどもの本だな〉 子どもと一緒に絵本を読もう! |
「仙女ときこり」−家族のきずなを大切に
朝鮮に古くから伝わる有名なむかしばなし。 ある日、りょうしに追われていた1頭のしかを助けたきこりは、そのお礼に自分の願いをかなえてもらう。 きこりの願いは「およめさんが ほしい」というもの。 しかの案内にしたがって、きこりが山のてっぺんへ向かってみると、そこでは美しい仙女たちが水浴びをしていた。 しかの教えどおり、はごろもをかくして仙女をおよめさんにしたきこり。 しかはきこりに、「こどもが4人生まれるまでは、けっして はごろもを見せてはならない」と言い残すが、ある日約束を忘れて、はごろもを仙女に見せてしまう。すると、仙女は3人の子どもとともに天に帰っていき、きこりはその後を追いかける。 仙女ときこり、そして子どもたちは天で幸せに暮らしていたが、きこりは地上に残してきた年老いた母が心配になってきた。 そして、仙女とあるやくそくをして地上におりることにしたが…。 絵を担当したのは、在日2世の画家の金正愛さん。わかりやすい絵もみどころの一つ。
「あまがえるさん、なぜなくの?−自立の一歩? 愛情確認?
「むかし、かあさんの いうことをきかない あまがえるのこが いました。このこは だいの へそまがり。かあさんが なにをいっても はんたいのことばかり していたのです。 『かわで からだを あらいなさい』 かあさんが いうと、 『やだ やだ やだーっ!』 と、やまへ ぴょんぴょん はねて いってしまいました」(本文より) 朝鮮では、人にさからってばかりいる人を、親しみをこめて「あまがえる」と呼ぶそうだ。そのもとになったのが、朝鮮の家庭で語り継がれてきた代表的なこのむかしばなし。 子どもの反発は「自立への第一歩」、「愛情の確認」という人がいるが、はたしてこの子がえるもそうだろうか? ヤダ、ヤダ、ヤダーッ! と母さんを困らせる「あまがえるの子」はどこかのだれかさんにそっくり!かもしれない。 色鉛筆を使って力強く描いた親しみのあるあまがえるの絵は、やんちゃな人間の子どもの姿を自然に連想させる。 あなたの家の子がえるさんに、ぜひ読んであげて。
「スニちゃん、どこいくの」−朝鮮の農村風景を絵本に
今日はスニちゃんのおうちの畑をたがやす日。 とうげの向こうの畑まで、スニちゃんがおやつを届けることになった。 小川の道、花の道、てくてく、さくさく、歩いてゆくと…。 いろいろな声がスニちゃんに届く。 「おや、スニちゃん、どこゆくの」 石垣のうえのリスや、くわの木かげの野ねずみ、大麦畑のあおがえる、神木のよこに立つチャンスン、田んぼのしらさぎ、山のかっこう…。 絵本は、色鉛筆のやわらかなタッチを生かした細かなイラストで、朝鮮の農村の風情をやさしく描いた四季シリーズの「春」編。 スニちゃん一家の住んでいる昔ながらの農家や農具、村の春の様子や日常の営みがあたたかく伝わってくる。 小川の道や花の道など、どことなく日本にもありそうな田舎の風景が広がっていてほっと和む。 同シリーズは、1997〜2000年に南朝鮮で出版され、自然の豊かさ、家族の絆が多くの読者の共感を呼んだ。 春の情景とともに、やわらかい空気も感じさせる絵本。 「おかあさんのおっぱい」−赤ちゃんは大好き!
赤ちゃんはみんな、おっぱいが大好き! ポヨンポヨンのおっぱい、ながーい ちくびの おおきな おっぱい、ふくろのなかに かくれた おっぱい、おなかの みぞに かくれた おっぱい。 ぶた、牛、カンガルー、イルカ…。 ぼくにちょうどいいのは…。 いろいろなおっぱいがあるけれど、じぶんのおかあさんのおっぱいがいちばん! でもでも…、きょうりゅうの おっぱいは? カモノハシの おっぱいや ハリモグラの おっぱいは? 絵本には、たまごから生まれる生き物にはおっぱいがないことや、おかあさんのおなかから生まれるどうぶつたちは、みんなおっぱいを飲んで育つことが描かれている。 母と子のあたたかな触れ合いを、動物たちのユーモラスな生態とともに描いた、楽しい自然科学絵本。 巻末には、おちちのもとになるたべものや、おちちのパワーについても解説されている。 生きることのすばらしさを子どもたちに伝える一冊。 入園、入学、進級から1ヵ月が過ぎて、子どもたちの生活も少し落ち着いてきた頃。絵本は目で見て楽しんで、読んでくれる人の声を聞いて、会話をして…と、子どもたちの心を育ててくれる。親子で、幼稚園や学校で、ハラボジ・ハルモニのひざの上で、子どもたちに絵本の読み聞かせをおススメする。 今回は、代表的な朝鮮の民話と、やわらかな朝鮮の農村風景を描いた作品、赤ちゃんが大好きなお母さんのおっぱいを取り上げた絵本を紹介。 子どもとのふれあいを大切にしよう。 問い合わせ=コリアブックセンター TEL 03・6820・0111、FAX 03・3813・7522 Eメール=order@krbook.net [朝鮮新報 2009.5.15] |