〈朝鮮と日本の詩人-95-〉 森田進 |
抗日パルチザンの歌響く 燃える気魄の言葉が降り注ぐ 低く鈍い海の唸りが 慶尚北道出身の君は この烈しく炎える日本の新緑を見ると 右の「韓国人学生梁勝将に与える詩」のモチーフは、詩人の贖罪感と友好の情である。第2連の「アリラン哀歌」と「パルチザンの歌の響き」が解放前の朝鮮の姿を暗示している。第3連には朝鮮人民への連帯の思いと畏敬の念がこめられている。「千三百年−」に始まる第7連は、古代から渡来人とともに築いた日本文化の伝統を称えている。そして、解放後わずか五年にして戦火に見舞われた祖国の悲劇に痛憤する留学生は、キリスト教のみが救いだと吐息をもらす。この詩人もまたクリスチャンである。 森田進は1944年に生まれ同志社大学と早稲田大学を卒業し恵泉女子大の教授となった。78年に崇田大学で教壇に立ったことがある。朝鮮に関する作品が「乳房半島・一九七八」「野兎半島」に多く収められている。(卞宰洙 文芸評論家) [朝鮮新報 2009.6.15] |