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ソンス、ヨングムに贈る愛のうた −文益煥−

 カササギが
 向日葵の種をくわえてきたら
 両手でだいじに受けとって
 君たちの心のように
 清らかな庭に植えなさい
 ミルク色帯びた赤ちゃん指に似た
 新芽が顔を出したら、朝が来るたび
 潤んだ微笑みでほこりを洗い
 希望のように育つ姿を
 見守ってあげるのです

 やがてくねくねと
 君たちの不器用な人生のように
 茎が伸びたら
 腰を過ぎ肩を越え頭の上へ 
 空へと頭を持ち上げたなら、君たちも
 明けてくる朝陽を見つめながら
 燦々と輝く黄金の花を
 咲かせておいてごらんなさい
 空のように青い君たちの胸に−

 朝ごとに昇る太陽を咲きほころび迎え
 夕ごとに沈む太陽を惜しむように送り
 明日を信じ
 そうして咲きひらいた
 永遠に初々しきその
 まぁるい顔
 突然重みに耐えきれず 
 がっくりと項垂れたまま もはや
 己の内に輝く太陽だけを見つめ続け
 気付かぬうちに粒々と生る花の実たち、
 ああ、なんとも美しく詰まった

 太陽の種たち
 これからは君たちが殻を割り
 美味しくほおばりながら
 毎日向日葵のような微笑みを
 振りまく番だよ
 きらめく朝 
 ホオジロ達が白い雪の上を
 チョンチョン、と歩いてきては
 あの小さなくちばしで勝手口を
 コンコン、と叩いてきたら
 その香ばしい
 向日葵の種を撒いてあげて
 楽しい舞踏会をひらいておあげなさい

(ヌッポム文益煥詩集「夢を仰ぐ心」78年・白凡思想研究所編)

 ムン・イクファン(1918〜94)

 北間島明東生まれ。牧師であり、民主化闘争に身を投じた詩人。少年期を詩人尹東柱と共に過ごした。72年に「月刊文学」で文檀に上がる。89年訪北し、国家保安法違反で投獄され93年に釈放されるが、94年に死去。 號は「ヌッポム(=遅い春)」。

 ※この詩を贈られたソンス、ヨングムは詩人の娘夫婦。

 (選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2009.6.15]