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〈朝大 朝鮮自然博物館 K両生類など〉 2011年は開館30周年

「生」を次代に伝える役目

大小の海水魚がずらり

 本校で生物学を専攻する学生たちは毎週多様な実験を行う。以前卒業研究のためにマウスを十数匹飼育した。予備として飼育していたマウスは幸い(?)実験に使われずに筆者の研究室で愛玩動物と化した。訪れる学生たちにもみくちゃにされながらもかわいがられていたのだが、先日寿命を全うしこの世を去った。仕事柄たくさんの生き物の死を目の当たりにしてきた。だからこそ命を粗末にしてはいけないと思っている。生き物たちの「生」を無駄にせず他の生命の、また次の世代のためになる何かを見つけ伝えるべきである。

 博物館に展示されている標本からも学ぶべきことは多い。約1年にわたって朝鮮大学校「朝鮮自然博物館」の無生物、生物展示について紹介させていただいた。展示物をいくつかのカテゴリーに分けて見所を解説してきたが、今回が最後なのでまだ紹介していないグループを少しずつ見てみよう。

淡水魚の標本も多数ある

 自然博物館には両生類や爬虫類、魚類などの脊椎動物、イカやタコ、二枚貝、巻貝などの軟体動物、それからカニやエビ、ヒトデやウニまでさまざまな生物の液浸標本などが展示されている。 45種ほどの海水魚展示ではサバやイシガレイ、ダツやサンマなどおなじみの魚たちが見られる。海はつながっているのだ。ホタテ貝やマガキ、ハマグリなどこちらも日本でよく見られる海産貝類が 20種ほど展示されている。動物の中では筆者は両生爬虫類に目がない。ウリナラには両生類14種、爬虫類27種が棲息するという。博物館にはヒキガエル、トノサマガエル、チョウセンサンショウウオ、スッポン、コウライトカゲ、タイリクヤマカガシの標本が展示されている。コウライトカゲは全長二十数a、胴回りは大人の親指より大きい。これはウリナラ固有種である。

 大学を訪れるウリハッキョの小中学生、日本の有識人、南朝鮮の学者などいろんな人びとが朝鮮歴史博物館と自然博物館を観覧して行く。博物館を訪れた人々が朝鮮や朝鮮大学校、さらに大自然との絆を少しでも感じてくれることを望むばかりである。

コウライトカゲ。これが動いている姿をぜひ見たい

 今年はわが大学が小平市に移転して50周年を迎える記念すべき年である。先日、50周年を記念する祝賀会が大学講堂で行われ、移転当時の記録映像が公開された。喜びにあふれる同胞たちの顔、フォークダンスを踊る学生たち、ピカピカの校舎が映し出された。白黒の画面から1世、2世同胞たちのみなぎるエネルギーが感じられた。この大学がいかにして産まれたのか、それがどれだけ大変なことだったのか、そしてこれから何をしなければならないのかを50年前の短い映像は赤裸々に語ってくれた。大学が走り抜けた半世紀の時を超え、2011年に自然博物館は開館 30周年を迎える。もっとウリナラの自然、祖国の温もりを伝えられる博物館に変えていくのは私の使命だと思う。

 学舎移転の翌年、筆者の父は大学に入学した。必然だろうか筆者は父と同じ理学部に学んだ。これからもこの大学で諸先輩方の息遣いを感じながら、彼らの生き様を筆者なりに後輩たちに伝えていきたい。初級部1年生の息子たちも最近「大きくなったらアボジのハッキョの部屋で仕事したい」と言ってくれたりする。とりあえず家族には筆者の想いが伝わっているようだ。(おわり=李景洙、朝鮮大学校理工学部准教授)

朝鮮自然博物館へは「朝鮮大学校国際交流委員会」へ電話連絡のうえお越しください。

 朝鮮大学校 東京都小平市小川町1−700、TEL 042・341・1331(代表)。

アクセス

・JR中央線「国分寺」駅北口より西武バス「小川上宿美大前行き」または「小平営業所行き」「朝鮮大学校」下車徒歩1分

・JR中央線「立川」駅北口より立川バス「若葉町団地行き」、終点「若葉町団地」下車徒歩10分

[朝鮮新報 2009.7.1]