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〈食のはなしD〉 夏野菜-上-

ガンや老化を食で防ぐ

 朝鮮料理は、朝鮮の豊かな気候風土により、季節ごとの旬の野菜の香りと味を生かし、多彩な発展を遂げてきた。

 今回、朝鮮料理研究家の金純子先生から夏にぴったりのメニューとして、「茄子の冷菜」を紹介してもらった(レシピ参照)。これはご飯のおかずにも合うが、来客の際の酒の肴にも好適だ。

 調理のポイントは、茄子に切り目を入れるタイミング。包丁さばきに自信のない人は、蒸す前に切れ目を入れておくとよい(多少水分は出るが)。

 一般的に夏野菜の代表といわれている茄子は、促成栽培により年間を通じて出回っている。品種が多く、紫の色鮮やかさが見る人を楽しませてくれる。この美しい色を閉じ込めるためには、油を使用したり、鉄やミョウバンのような金属と反応させることがポイントとなる。それによって鮮やかな紫色が安定するのだ。糠床に釘を入れるのもこの原理を利用している。

 茄子は一昔前まで栄養価の低い食品とされてきたが、近年紫色が示す成分、ナスニンが注目されるようになった。これはアントシアニン系の色素でポリフェノールの一種。ガンや動脈硬化、老化などを促す活性酸素を消去する働きがある。

 一方、「茄子の冷菜」にかけるタレには、ごまとごま油が入っている。ナムルをはじめ、朝鮮料理のあらゆる野菜料理には、ごまとごま油がふんだんに使われるのが特徴と言えよう。

 「ナムルと野菜料理(柴田書店)」によると、4世紀頃、朝鮮に仏教が伝播しはじめた影響で「動物殺生禁止令」が出された後、食生活に変化が生じた。つまり肉料理が食卓から消え、野菜類の料理が多くなったと記している。仏教の戒律で動物性の食品を思うように食べられなかったため、人々は栄養を補う意味合いも込めて、各種料理にごまを使用したと考えられる。

 さらにナムルの材料としてよく使われる緑黄色野菜には、カロテン(プロビタミンA)が多く含まれている。カロテンは脂溶性のため、油との相性がよく、吸収率を高める。まさにウリ民族の生活の知恵から生まれた健康法の一つと言えよう。(金貞淑、朝鮮大学校短期学部准教授、栄養学専攻)

■「茄子の冷菜」の作り方■
【材料】
茄子…………………4
長ネギ………………1/2
万能ねぎ……………2
赤唐辛子……………1
生姜…………………10グラム

【調味料A】
醤油…………………大3
酢……………………大1.5
砂糖…………………大1
粉唐辛子……………小2
すりごま……………小1
ごま油………………大1

※生姜や酸味が苦手な人はこちら

【調味料B】
醤油…………………大3
砂糖…………………大1.5
粉唐辛子……………大1
すりごま……………小1
ごま油………………大1
みりん………………小2
すりにんにく………小1/2

【作り方】
 @茄子はへたを取って半分に切り、蒸し器に並べ5〜6分間強火で蒸す。

 A蒸し上がった茄子はざるに平らに並べ、氷を入れたバットの上にのせ、うちわで扇ぎながら手早く冷ます。

 Bねぎ(白い部分)は千切りにし 水にさらしておく。残りのねぎと生姜は刻んでおく。

 C調味料A(もしくはB)を混ぜ合わせ、刻んだ生姜、ねぎを入れタレを作る。

 D赤唐辛子と万能ねぎは小口切りにする。

 E前述のAを乾いた布巾で軽くふいて水気を取り、縦に5_幅の切り目を入れる。

 F前述のEの茄子は大皿に切り口をずらしながらきれいに盛り付ける。水切りしたさらしねぎを天盛りにし、赤唐辛子と万能ねぎをちらす。

 G食べる直前にタレをかける。

[朝鮮新報 2009.7.3]