〈朝鮮と日本の詩人-99-〉 山田今次 |
白いチョゴリの少女 ぼくは外套をきたまま肩をすぼめていた。 ひとまえになれていないのだ。 ふと、少女たちの手がほそくひるがえった。 少女たちは すでに羽毛のようであった。 「舞台」の全文である。踊っているのは中級学校の生徒たちであろうか。白、赤、黄、緑の単色的な直喩があざやかである。「白いチョゴリの少女。胸に赤いリボン」というレフレーンが少女たちの魂を象徴しており、それにふれて詩人の心は洗われている。 山田今次は1912年に横浜市に生まれ、10代ですでに詩の回覧誌をつくっている。プロレタリア詩運動に加わり検挙されたこともある。戦後、新日本文学会に加わり詩、小説を多く発表した。第一詩集「行く手」(58)は中野重治、金子光晴らによって評価された。詩集「技師」「風景異風景」「塵」他を残した。(卞宰洙 文芸評論家) [朝鮮新報 2009.7.27] |